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ヘミングウェイ『移動祝祭日』解説あらすじ

ヘミングウェイ
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はじめに

ヘミングウェイ『移動祝祭日』解説あらすじを書いていきます。

語りの構造、背景知識

クレイン、ジェイムズのリアリズム、トウェインの超絶主義とロマン主義

 ヘミングウェイはスティーブ=クレイン(『赤色武勲章』)のシニカルな要素に影響を受けていて、短編にはそのようなニヒリズムが見えます。

 またH=ジェイムズ(『鳩の翼』『黄金の盃』)からも顕著な影響を受けていて、そのリアリズムや国際性、グランドツアーのモチーフが共通します。本作においても、パリにおけるボヘミアンとしてのグランドツアーが描かれ、そこでの芸術家との交流が描かれていきます。

 またマーク=トウェイン(『ハックルベリー・フィンの冒険』『王子と乞食』)の影響も顕著で、その超越主義、プラグマティズム的な発想と、等質物語世界の語り口などに活きています。

等質物語世界の語り手、作家の自伝

 本作は等質物語世界の語り手の「私」が設定され、これがヘミングウェイ自身がモデルになっています。

 ヘミングウェイとガートルード=スタイン、フィッツジェラルドなどとの交流が描かれます。シニカルでドライなヘミングウェイの性格描写が印象的です。

ボヘミアニズム

 本作はボヘミアニズムを背景とする作品です。これは、ミルジェール『ボヘミアン生活の憧憬』などに端を発する、芸術家としてのブルジョワ社会の中での自己実現をめぐるあり方です。無名のボヘミアンとして、マージナルなモラトリアムの時期を過ごす青年たちの姿が『ボヘミアン生活の憧憬』などにえがかれています。

 本作もヘミングウェイがまだ無名のボヘミアン時代ことを振り返る物語になっています。

 似たような表象は荷風『ふらんす物語』、ミラー『北回帰線』などに見えます。

最初の妻、ハドリー

 本作は、ヘミングウェイの最初の妻、ハドリーとのことを描きます。ハドリー=リチャードソン、ポーリン=ファイファー、マーサ=ゲルホーン、メアリー=ウェルシュ=ヘミングウェイと、四度結婚を経験したヘミングウェイでした。

 『日はまた昇る』など、ハドリーとの関係が背景にある作品がヘミングウェイにはしばしば見えます。

物語世界

あらすじ

 1920年代のパリで無一文の作家として過ごしたころ、若いジャーナリストだった語り手は、執筆で生計を立てようと仕事を辞めます。彼は魅力的な妻ハドリー=リチャードソンとともにパリに到着します。夫婦は愛と新鮮なワインで暮らしています。

 パリのアメリカ人ボヘミアンたちの中心となった収集家ガートルード=スタイン、寛大な熱意の詩人エズラ=パウンド、変人だが愛嬌のあるF=スコット=フィッツジェラルドなどとの交流が描かれます。

 物語は夫婦の破局の前兆で終わります。

参考文献

・高村勝治『ヘミングウェイ』

・今橋映子『異都憧憬 日本人のパリ

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