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ヘミングウェイ『日はまた昇る』解説あらすじ

ヘミングウェイ
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はじめに

ヘミングウェイ『日はまた昇る』解説あらすじを書いていきます。

語りの構造、背景知識

クレイン、ジェイムズのリアリズム、トウェインの超絶主義とロマン主義

 ヘミングウェイはスティーブ=クレイン(『赤色武勲章』)のシニカルな要素に影響を受けていて、短編にはそのようなニヒリズムが見えます。

 またH=ジェイムズ(『鳩の翼』『黄金の盃』)からも顕著な影響を受けていて、そのリアリズムや国際性、グランドツアーのモチーフが共通します。本作においては、それが戦争のトラウマと後遺症として現れています。

 またマーク=トウェイン(『ハックルベリー・フィンの冒険』『王子と乞食』)の影響も顕著で、その超越主義、プラグマティズム的な発想にいきています。

寓話的物語。性的不能と輪廻の『荒地』

 多くのヘミングウェイ作品がそうであるように、本作もまた、寓意的なストーリーになっています。

 本作はT.S.エリオット『荒地』の影響が大きく、ジェイクの性的不能の設定もここに由来し、退廃したムードもそこからの影響が顕著です。

 エリオット『荒地』は、当時のブルジョワ社会の道徳的な荒廃を、聖杯伝説における聖杯の欠落した時代の荒地を象徴として描いています。またフレイザー『金枝篇』が、作品の背景になっており、これはネミの森の司祭殺しの習俗の合理的解釈を図ったものです。ざっくりいうと、その実践の根拠を自然の循環と輪廻のサイクルを維持するためになされているとの解釈を展開したもので、ここから後のモダニズム文学に輪廻や転生のモチーフが見えるようになっていきます。

 本作における輪廻とは何でしょうか。

日常の閉塞感の輪廻

 本作では戦争で負傷し不能になった主人公ジェイクが、パリで新聞特配員の仕事をしています。ある日ジェイクは、ダンスフロアでブレットという女性と知り合います。二人は互いに好意を持つものの、しかしブレットは婚約者がいてかつ多くの男と寝る奔放な女性でした。このブレットとジェイクが物語の中心です。

 ブレットとジェイクは作品の中では一度も結ばれることがなかったのですが、何度か接近し、最後も自分達が一緒になっていたらどうだったろう、と回想します。

 とはいえ、結局性的に奔放なブレットと性的不能のジェイクの二人が一緒になったところで、破局は免れえないものと、物語世界内における経過を見ていると予感させます。

 何度ときを繰り返しても、もし過去をやり直せたとしても、その宿命に従うことは避けられないという逼塞感が、ジェイクの生きる退廃した日常の輪廻を演出します。

成立背景

 ヘミングウェイは1922年には妻のハドリーと、アメリカ合衆国からフランスのパリに移住し、1923年7月には初めてスペインのパンプローナを訪れて、サン=フェルミン祭のエンシエロ(牛追い)と闘牛に魅了されました。1924年7月には自身と妻に加えて、イギリスの軍人であるエリック・ドーマン=スミス、小説家のジョン=ドス=パソス、ドナルド=オグデン=スチュワートとパンプローナを訪れます。1925年7月には自身と妻に加えて、小説家のハロルド=ローブ、小説家のドン=スチュワート、イギリス人女性のダフ=トゥイズデン、ダフの婚約者であるパット=ガスリー、少年時代からの親友のビル=スミスの7人で再びパンプローナを訪問しています。

 このように本作はハドリーとの関係やスペインでの経験を背景にしています。ハドリーは、ヘミングウェイの四人の妻のうち最初の女性で、1921〜27年までの関係です。

物語世界

あらすじ

 第一次世界大戦を経験したアメリカのロスト=ジェネレーションの世代のドラマです。

 戦争で負傷し不能になった主人公ジェイクは、パリで新聞特配員の仕事をしています。ある日ジェイクは、ダンスフロアでブレットという女性と知り合います。二人は互いに好意を持つものの、しかしブレットは婚約者がいてかつ多くの男と寝る奔放な女性でした。彼女の遊び相手には、コーンという男がいて、コーンはブレットに付き纏っています。

 七月にジェイクは友人のビルとスペインのフェルミン祭に出かけます。現地にはコーン、ブレット、ブレットの婚約者も来ています。コーンがしつこくブレットにちょっかいを出し、ジェイクと殴り合いの喧嘩になります。しかしブレットは闘牛士の若い青年ロメロに恋をし、駆け落ちしてします。

 祭が終わり、ジェイクは一人でスペインに残ります。数日して、駆け落ちしたブレットから電報が届きます。どうやら二人は破局したそうです。再会したジェイクとブレットは、自分達が一緒になっていたらどうだったろう、と想像します。

参考文献

・高村勝治『ヘミングウェイ』

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