PR

谷崎潤一郎『猫と庄造と二人のをんな』解説あらすじ

谷崎潤一郎
記事内に広告が含まれています。

始めに

谷崎潤一郎『猫と庄造と二人のをんな』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

象徴主義(ワイルド)と古典主義(スタンダール)、ヴィクトリア朝文学(ハーディ)

 谷崎潤一郎は英仏の象徴主義、古典主義からの影響が顕著です。オスカー=ワイルドの作品は『ウィンダミア卿夫人の扇』などを共訳で翻訳していますし、『サロメ』的なファム=ファタールを描いた『痴人の愛』もあります。ワイルドの戯曲作品のような、卓越したシチュエーションのデザインセンスとその中での心理的戦略的合理性の機微を捉えるのに長けているのが谷崎文学の特徴です。

 スタンダール(『赤と黒』)的な心理劇、古典主義も谷崎の顕著に影響していますし、またウィルキー=コリンズに影響されつつ、ダイナミックなリアリズムを展開したハーディ(『ダーバヴィル家のテス』)からの影響も顕著です。

 この辺りはフォロワーの河野多恵子(「」)、円地文子(『朱を奪うもの』)、田辺聖子(「感傷旅行」)などへと継承されます。

三角関係、四角関係

 現実において三角関係を経験した谷崎において、三角関係のなかでの心理劇は得意とする手法となりました。それは『』『』などにも描かれます。

 天敵(?)である夏目漱石(『こころ』『行人』)や、彼が私淑したヘンリー=ジェイムズ(『鳩の翼』)のように、心理劇のシチュエーションデザインの手腕に、谷崎は秀でていました。

 本作も主人公の庄造は猫のリリーを愛しており、そのため妻の福子に嫉妬されています。前妻の品子がリリーを欲しがって譲ることになり、ここから庄造、リリー、福子、品子の四角関係へと発展していきます。

物語世界

あらすじ

 庄造の前妻・品子は現在の妻・福子に対し、雌猫のリリーを譲って欲しいと手紙を出します。福子は夫の庄造に譲るようにいいますが、彼は嫌がります。福子はリリーに前から嫉妬していました。夫婦喧嘩の末に、庄造は猫を品子に譲ります。

 リリーは過去に他人に譲られたとき、自ら庄造のもとに戻りました。彼は今回もそうなるだろうと期待します。

 リリーは最初は品子になつかず、しかし次第に打ち解け合い、品子は猫は仲良くなります。庄造はリリーが恋しくて、品子の留守中にこっそりと家を訪ねます。リリーが大切に飼われているようで、安堵する庄造。

 やがて品子が帰宅し、庄造は慌てて家を出ます。

参考文献

・小谷野敦『谷崎潤一郎伝 堂々たる人生』(中央公論社.2006)


コメント

タイトルとURLをコピーしました