始めに
バルザック『谷間の百合』解説あらすじを書いていきます。
背景知識、語りの構造
ロマン主義、リアリズム
バルザックはロマン主義を代表する作家で、モリエールやスコットのリアリズムやロマン主義からの影響が顕著です。
『ゴリオ爺さん』などが代表ですが、フランス革命以降の社会の自由主義、封建主義の崩壊、社会のブルジョワジー中心化などを背景に、ブルジョワ化した社会における自己実現をテーマとする内容の作品を多く手掛けました。
本作では、青年貴族フェリックスと薄幸のモルソフ伯爵夫人との恋を描きます。フェリックスは、モルソフ伯爵夫人に教育されて、社交界へと送り出されていきます。
妹と不幸な結婚、モデル
バルザックはシスコンで、妹たちが不幸な結婚をしたことから結婚を否定的に捉え、また結婚した妻が不幸になるというプロットはしばしば展開するようになりました。
本作では、アンリエットの悲劇的な最期が描かれます。
この小説にはモデルがいてアンリエットはベルニー夫人、アラベル(ダッドレー夫人)はヴィスコンティ夫人で、ともにバルザックの恋人です。バルザックはデブで小柄でしたが、愛嬌があったのかなんかモテていました。
ベルニー夫人ともヴィスコンティ夫人とも不倫の恋をし、ヒモみたいな感じでベルニー夫人からはとくに様々に援助を得ていて、そのあたりが作品にも反映されています。
スタンダール『赤と黒』
本作はスタンダール『赤と黒』の影響が指摘され、ともに年上の女性に恋愛面で青年が育てられて、社交の術を身につけるプロットは共通しています。
とはいえ、本作の主人公は貴族で、最後に命を失うのも女性の方です。
物語世界
あらすじ
復古王政初期を時代背景に、語り手である青年貴族フェリックスと薄幸のモルソフ伯爵夫人との恋を描きます。
家族に疎まれて育った末っ子であるフェリックスは舞踏会にてモルソフ伯爵夫人アンリエットに恋します。アンリエットは母性的愛情を持って接し、彼に処世術を教えパリへ送り出します。フェリックスはパリでダッドレー夫人と出会い、恋愛関係に。アンリエットはダッドレー夫人への嫉妬心で死にます。
参考文献
・アンリ=トロワイヤ著、尾河直哉訳『バルザック伝』




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