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ポー「アルンハイムの地所」解説あらすじ

エドガー=アラン=ポー
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始めに

 ポー「アルンハイムの地所」解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ドイツロマン主義の影響

 ポーはドイツロマン主義からの影響が顕著です。具体的にはホフマン、シラー、ゲーテ(『ファウスト』『若きウェルテルの悩み』)などの作品から影響を受けました。

 ポーにはそこから幻想文学作品も多いです。

 また、ゲーテ『若きウェルテルの悩み』など、語り手や視点人物の内的世界の混乱、混沌はシェイクスピアなどより継承する、ロマン主義文学に典型的モチーフですが、ポーも継承します。

 またホフマンは『砂男』で信頼できない語り手を導入し、ポーもこれを得意としました。

ゴシック文学の系譜

 作家ホレス・ウォルポールの『オトラント城奇譚』がゴシック小説の先駆となり、以降はこのジャンルが連綿と継承されました。

 ポーも『アッシャー家の崩壊』など、このジャンルを代表する作品を多く手掛けたほか、本作もゴシック小説や墓地派を思わせる暗いムードやグロテスクな要素が特徴的です。

人工の美学とボードレール

 ポーの『アルンハイムの地所』で描かれた自然を凌駕する人工の美という思想ですが、これはフォロワーのボードレールに継承され、彼独自の美学へと継承・発展されます。


​ ​『アルンハイムの地所』で主人公エリソンは、自然の風景には必ず欠陥があると考え、人間の手でそれを修正・再構成することで神の創造を超えようとします。​ボードレールも当時の主流だった自然賛美を真っ向から否定しました。ポーが庭園で行った自然の矯正を、ボードレールは人間そのものや都市へと応用します。


​ ​ポーが風景を人工的に作り込んだのに対し、ボードレールはその人工性を身体と精神にも向けました。


​ ボードレールは『化粧礼賛』というエッセイの中で、化粧を自然の欠陥を隠し、人間を神聖な彫像のように高める崇高な行為として称えています。これは『アルンハイム』でエリソンが自然の風景を「絵画的」に整えたことと精神的に同義です。


​ また感情を表に出さず、服装や振る舞いを完璧にコントロールするダンディという生き方もまた、ありのままの自分を殺し、自分自身を一つの人工的な芸術作品として作り上げる行為であり、エリソンの生き写しと言えます。

 人工の美学を掲げる本作は、ボードレールのほか、谷崎『金色の死』、乱歩「パノラマ島奇談」にも影響しました。

物語世界

あらすじ

 エリソンは、ある日突然、天文学的な額の遺産を相続します。彼は「幸福」を実現するために、​野外での身体運動、​女性の愛、あらゆる野心の軽蔑、​絶えず何かを追求する目的を持つことを掲げます。

 ​エリソンは、最後の「目的」として、音楽や詩、絵画ではなく造園を選びます。彼は、自然そのものをキャンバスとし、神が作った自然の風景を、人間の芸術的感性で完璧な美へと高めることこそが、最も崇高な芸術であると考えました。

​ ​エリソンは世界中を探し回り、ついに理想の土地を見つけ、長い年月をかけて完成させます。

 語り手はその地所「アルンハイム」を訪れるのでした。

 語り手は小舟に乗り、曲がりくねった川を遡っていきます。川の両岸の景色は、進むにつれて徐々に整えられ、神秘的な雰囲気を帯びていきます。

 自然のままのようでいて、どこか計算された完璧な配置の植物、水面に映る逆さまの風景、そして甘い香り。現実世界から切り離されたような感覚に陥ります。

 巨大な扉を抜け、さらに奥へと進むと、ついに「アルンハイムの地所」の全貌が現れます。それは、自然の偶然性を排除し、色彩、光、配置のすべてが調和した、地上に実現された天国のような光景でした。

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