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ポー「赤死病の仮面」解説あらすじ

エドガー=アラン=ポー
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始めに

 ポー「赤死病の仮面」解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ドイツロマン主義の影響

 ポーはドイツロマン主義からの影響が顕著です。具体的にはホフマン、シラー、ゲーテ(『ファウスト』『若きウェルテルの悩み』)などの作品から影響を受けました。

 ポーにはそこから幻想文学作品も多いです。

 また、ゲーテ『若きウェルテルの悩み』など、語り手や視点人物の内的世界の混乱、混沌はシェイクスピアなどより継承する、ロマン主義文学に典型的モチーフですが、ポーも継承します。

 またホフマンは『砂男』で信頼できない語り手を導入し、ポーもこれを得意としました。

ゴシック文学の系譜

 作家ホレス・ウォルポールの『オトラント城奇譚』がゴシック小説の先駆となり、以降はこのジャンルが連綿と継承されました。

 ポーも『アッシャー家の崩壊』など、このジャンルを代表する作品を多く手掛けたほか、本作もゴシック小説や墓地派を思わせる暗いムードやグロテスクな要素が特徴的です。

赤死病

 架空の病である「赤死病」は、その名前からして黒死病を連想させますが、それ以外にも影響元の候補があります。

 1832年のコレラ流行の際にフランスで開かれた舞踏会があり、ここからコレラがモデルともいわれます。加えて、ポーの義母フランセス=アラン、実兄のウィリアム=ヘンリー=レオナルド=ポー、そして妻ヴァージニアが結核でなくなったことから、結核がモデルともされます。

 しかし、どれか一つに確定されたわけではありません。

元ネタ

 作品の下敷きは、主人公と同名の魔術師プロスペローが登場するシェイクスピアの仮面劇『テンペスト』で、この作品に「赤い疫病」への言及もあります。

 『テンペスト』では、元ミラノ公爵で優れた魔術師であったプロスペローは、ナポリ王アロンソの助けを借りた裏切り者の兄アントニオに王位を簒奪され、幼い娘ミランダを連れて船で逃げて、孤島へと逃がれ、ずっとそこで暮らしています。プロスペローは魔法を使って、島の唯一の住人であるキャリバンに自分とミランダを守らせ、また、精霊アリエルを解放し、二人を奴隷とします。そんなプロスペローの復讐が作中で描かれる内容ですが、『赤死病の仮面』とは、プロスペローが外界と隔絶された世界に籠る展開が共通しています。

 またプーシキンの『小悲劇』の「ペスト蔓延下の宴」とも設定が共通します。

物語世界

あらすじ

 ある国で「赤死病」という疫病が広まり、長い間人々を苦しめていました。その病にかかると、眩暈と体中の痛みがあり、発症から三十分も経たないうちに体中から血が溢れて死に至ります。

 国王プロスペローは、臣下の大半がこの病にかかって死ぬと、残った臣下や友人を引き連れて城砦の奥に立てこもり、疫病が入り込まないよう厳重に通路を封じます。城外で病が猛威を振るうものの、王は友人たちと饗宴にふけり、やがて5、6ヶ月もたつとそこで仮面舞踏会を開くことを思い立ちます。

 舞踏会の会場となる部屋は、7つの部屋が続きの間として不規則につながり、それぞれの部屋は、青だったり緑だったり、壁一面が一色に塗られ、窓にはめ込まれたステンドグラスも同じ色をしていました。ただ最も奥にある黒い部屋だけは例外で、ここだけは壁の色と違いステンドグラスは赤く、その不気味な部屋に入ろうとするものはいません。

 舞踏会は深夜まで続き、黒い部屋に据えられた黒檀の時計が12時を知らせると、人々は奇妙な仮装をした人物が舞踏会にいるのに気が付きます。その人物は全身に死装束をまとい、仮面は死後硬直を模していて、赤死病の症状を模して、仮面にも衣装にも赤い斑点がありました。

 この仮装に怒り狂った王はこの謎の人物を追いたて、黒い部屋に追い詰めると短剣を衝き立てようとするものの、振り返ったその人物と対峙した途端、絨毯に倒れて死にます。

 そして参会者たちがその人物の仮装を剥ぎ取ると、その下には何ら実体がありません。この瞬間、赤死病が場内に入り込んでいることが判明し、参会者たちは次々に赤死病にかかって倒れます。

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