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三島『美徳のよろめき』解説あらすじ

三島由紀夫
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始めに

 三島『美徳のよろめき』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ジャン=コクトー、ラディゲ流の新古典主義。シュルレアリスム

 三島由紀夫は私淑したラディゲ(『ドルジェル伯の舞踏会』肉体の悪魔』)、コクトー(『恐るべき子供たち』)流の新古典主義が特徴です。端正な線で対象を流離に描く姿勢はここでも発揮されています。

 ラディゲはコクトーなどのモダニスト、シュルレアリストと親交があって、前衛的な文学的潮流と接触していたものの、本人はフランスの心理小説(コンスタン『アドルフ』、ラファイエット夫人『クレーヴの奥方』)やロマン主義文学(ミュッセ)に習いつつ、古典的な小説スタイルでもって小説を展開していきました。『ドルジェル伯の舞踏会』もクラシックな心理小説『クレーヴの奥方』の翻案として、王宮文学としてのメロドラマを展開します。

姦通の物語

 上流階級に育った28歳の節子は、親の決めた倉越一郎と結婚し男の児も1人いた。結婚前の男友達土屋と再会し関係を持ち、相手に惹かれる節子が妊娠の中絶を繰り返した末に、別れを決心するまでの1年間を描く内容です。

 ラディゲ『ドルジェル伯の舞踏会』のように、上流の社会のなかでの不倫を扱う心理劇ですが、描写は洗練されていて、大きな物語的な因果はないものの、すぐれた中間小説になっています。

物語世界

あらすじ

 上流階級の家庭に育った28歳の節子は、親のいいつけで倉越一郎と結婚し男児が1人います。節子は時折、結婚前の20歳の頃、同い年の土屋とした避暑地での接吻を思い出しました。結婚後も、土屋とは偶然に舞踏会や町のレストランで遭遇し、やがて節子は土屋と何度か食事をして、再び接吻をしました。9年前と比べて、土屋の接吻はうまくなっていました。

 節子は受胎し、夫の子でしたが、このまま生んで、土屋と疎遠となれば、生まれる子供が恋の形見となるため、中絶します。

 節子は土屋と旅行に行きます。友人の与志子に協力してもらいます。与志子にも秘密の愛人がいました。その日の朝、節子は幼い息子・菊夫に羞恥を感じます。土屋と結ばれた翌朝、2人は裸でホテルの部屋で朝食を摂ります。

 土屋と密会をし、節子は深い快楽を覚えます。しかし、土屋には節子の夫への嫉妬の影もありません。やがて節子は土屋の子を授かり、土屋に黙って中絶します。

 土屋がナイトクラブで女と会っていたと知り、節子は嫉妬します。次第に節子の心は土屋に囚われて、それでも土屋と別れられない節子は、老人の松木や、元花柳界の老婦人に相談するものの、うまくいきません。

 節子は再び土屋の子を妊娠します。衰弱した節子は麻酔なしの手術を受けることになるものの、激しい苦痛に耐えて声一つも立てません。

 節子は里の父である藤井景安と食事をします。話題の中で、父の旧知が今朝、自殺をした話になりました。節子は自分のスキャンダルが、堅実な父親に影響してしまった場合をそのニュースに重ね、不安に感じます。

 節子は土屋に今までの苦悩を話し、別れを切り出します。

 別れて数か月後、節子は土屋への手紙を書きます。そこには別れた後の苦しみや、深い愛を綴ったものの、節子はそれを破って捨てます。

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