始めに
川澄 浩平『探偵は教室にいない 真史と歩シリーズ 』感想レビューを書いていきます。
| ランク |
| B |
基本情報
あらすじ
わたし、海砂真史(うみすなまふみ)には、変わった幼馴染みがいます。大人びていて賢い彼とは、別々の小学校に入って以来、疎遠でいました。中学生になってからは、学校にもあまり行っていないらしいです。
しかし、ある日わたしの許に届いた差出人不明のラブレターをめぐって、わたしと彼、鳥飼歩(とりかいあゆむ)は、九年ぶりに接触します。
著者
川澄浩平。1986年北海道生まれ。北海道在住。北海学園大学卒。漫画原作者として活躍したのち、2018年に第28回鮎川哲也賞を受賞、受賞作『探偵は教室にいない』でデビュー。
所感
学園ミステリとして
正直世間的な評価は高くないですが、個人的には結構好きです。
世間的に評価が高くないのは、内容的に米澤穂信さんの学園ミステリと既視感がつよいこと、ミステリとしての弱さ、だと思います。
たしかに米澤さんの小市民シリーズ、古典部シリーズと被るところはありますが、本作の方がリアルベースで、キャラのデフォルメ具合も希薄で、米澤作品のライトノベルっぽい語りが苦手な自分は、テイストとしてはこっちの方が好みで、差別化に失敗している印象はありません。文章としては芥川賞の青山七恵さんみたいな感じで、華はないけど隙もなくて、土地とか舞台を雰囲気や空気をうまく掬って描写するスキルが高いです。北海道を舞台にする青春劇としては魅力的です。
本格として
ただミステリとしては弱いです。まず日常の謎はどうしてもパズラーと相性が悪く、状況とかを作りすぎると日常というリアリティラインが損なわれてしまって、日常の謎であることの合理性が損なわれます。なのでハウ、ワイをメインに日常あるあるな心理トリック中心で組み立てる方が日常とミステリ読み物のバランスの調和に成功しやすいのですが、全体的に本作はハウもワイも、日常あるあるでちょっと痛々しい青春の悲哀の演出はあるものの、ミステリとしては驚きや発見に乏しいです
ひいき目ですが、いぶし銀な青春ミステリで、自分は結構好きです。
総評
地味ですが、結構味のある作品です。こういう作品は新人賞で選ばれにくい気がしますが、自分は好意的に見ています。




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