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大滝瓶太『その謎を解いてはいけない』感想レビュー

ミステリー
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始めに

 大滝瓶太『その謎を解いてはいけない』感想レビューを書いていきます。

ランク
C

基本情報

著者

 大滝瓶太。1986年生まれ兵庫県淡路市出身。 「青は藍より藍より青」で第1回阿波しらさぎ文学賞を受賞。 SF、純文学のほか、 ユキミ・オガワ作品「町の果て」、「煙のように、光のように」など小説の翻訳も手掛けておられます。

 本作はミステリデビューかつ単著デビュー作品です。

あらすじ

 生まれつき左眼だけ翠色、オッドアイの女子高生・小鳥遊(たかなし)唯(ゆい)は、右目に緑色のカラコン、黒いマントの二八歳独身男性、暗黒院(あんこくいん)真実(まこと)(本名・田中友治)が営む探偵事務所で助手を務めています。
 ある日、探索中に山奥から帰れなくなった二人は蛇怨館(じゃえんかん)という洋館に泊まります。翌朝そこで死体が見つかるのでした。

所感

ミステリとして

 筆者は純文学畑っぽいので、佐藤友哉さんとか舞城王太郎さんみたいな、メタミステリー、ライトノベルパロディ風味の感じですが、まずミステリー長編を組み立てる構成力が低いのを純文学的、ポストモダニズム的パスティーシュや捻ったデザインで無理矢理誤魔化している印象が強く、どの方向性にも中途半端な感じが、滑ってる時の佐藤友哉さんや舞城王太郎さんの作品以上に強かったです。
 とにかく全体的に低クオリティでコンセプトとしても滑っていて、読みにくく、変に捻っているからベタな盛り上がりもないという目を覆わしめるラインにあります。

 コンセプトとしては推理の加害性を描く、みたいな感じで某有名なアンチミステリーみたいな感じですが、その料理の仕方も拙いと感じます。

 ミステリとしてはスカスカで、そのポストモダニズム的脱線から、さまざまな黒歴史が暴かれていくことが作品の中心になっています。ミステリ要素がバカミステリーとして面白かったらまだよかったですが、いかにもやる気がなさそうな感じです。

 正直思うんですが、この程度のミステリ知識と理解度では、メタミステリを書くのには心もとないと思います。松本人志の映画と一緒で、その芸術ジャンルの素養がないのに、無理にメタなことをやって誤魔化そうとするから、珍作にすらなれてない印象がします。

 麻耶雄嵩のように本格の素養が非凡だったり、筒井康隆のようにミステリに対して不遜でも作家としての素養が非凡だったら、メタミステリ―を書いて成功するでしょうが、この本の作者にまだそれはないと思います。とはいえまだミステリー処女作なので、どう化けるかはわかりません。

文章

 文章はあえてライトノベルのパロディみたいな、痛々しく仰々しいスタイルで、とにかく読みづらいです。それが舞城さんみたいにスタイルとして洗練されているわけではなく、ただただ読みにくいです。

総評

 つまらないです。普通のミステリーの賞だと一次選考か二次選考で落とされる内容で、一昔前のメフィスト賞なら(最近はウェルメイドな作品が取りやすい)清涼院流水みたいにラッキーパンチ的な受賞がありうる内容です。最近だとこのミスでもありうるかもです。

 でも著者にキャリアがあるから重版になったとしか解釈できないです。

コメント

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