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ポー「大鴉」解説あらすじ

エドガー=アラン=ポー
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始めに

ポー「大鴉」解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ドイツロマン主義の影響

 ポーはドイツロマン主義からの影響が顕著です。具体的にはホフマン、シラー、ゲーテ(『ファウスト』『若きウェルテルの悩み』)などの作品から影響を受けました。

 ポーにはそこから幻想文学作品も多いですが、本作も大鴉が主人公のもとにやってきて、”nevermore”とだけ喋るという幻想的な内容になっています。鴉は不吉な運命を伝え、主人公はその影の下に魂をとらえられてしまうのでした。

 また、ゲーテ『若きウェルテルの悩み』など、語り手や視点人物の内的世界の混乱、混沌はシェイクスピアなどより継承する、ロマン主義文学に典型的モチーフですが、本作も語り手のトラウマを描く内容です。

ゴシック文学の系譜

 作家ホレス・ウォルポールの『オトラント城奇譚』がゴシック小説の先駆となり、以降はこのジャンルが連綿と継承されました。

 ポーも『アッシャー家の崩壊』など、このジャンルを代表する作品を多く手掛けたほか、本作もゴシック小説や墓地派を思わせる暗いムードやグロテスクな要素が特徴的です。

喪失の苦悩

 テーマは、愛する者の死に対する喪失感です。主人公は亡き恋人レノーアを忘れようと、夜更けに古い本を読んで気を紛らわせようとしていますが、結局は彼女の不在という事実に引き戻されます。鴉が繰り返す「Nevermore(二度とない)」という言葉は、彼女に再会できる希望も、心の平安が得られる時も二度と来ないという非情な現実を突きつけています。


​ ​最初は鴉を珍客として面白がっていました。​次第に、自分の絶望を深めるような問いを自ら鴉に投げかけるようになります。​最終的に、鴉に魂を支配されてしまう。 悲しみの中で心が壊れていくプロセスを、ドラマチックに描き出しています。

物語世界

あらすじ

 冒頭、名前のない主人公は恋人レノーアを失ったことを忘れようと、古い伝説を座って読んでいます。そこに部屋の扉を叩く音がして、扉を開くものの誰もいません。

 それからさっきより大きな音が窓の方でします。調べに行くと大鴉が部屋の中に入ってきます。大鴉は主人公を気にせず、パラスの胸像の上に止まります。

 主人公は大鴉の重々しい様が面白くて、戯れに大鴉に名前を聞く。すると大鴉が「Nevermore(二度とない)」と答えます。主人公は、それまで友人たちが希望と一緒に飛び去ったように、「友」たる大鴉も自分の人生から飛び立とうとしていると独り言を呟きます。すると大鴉は再び「Nevermore」と言います。主人公はその言葉は、前の飼い主が不幸だったから覚えたもので、それしか喋れないのだと確信します。

 主人公は大鴉の方を向き、何も言わずに考えます。主人公の心は失われた恋人レノーアのことを考えます。部屋の空気は濃くなって、天使がいるようだと思います。主人公はその連想に怒り、大鴉を「邪悪なる存在」「予言者」と呼びます。主人公がなにかわめくと大鴉は「Nevermore」を繰り返すのでした。

 最後に主人公は大鴉に、天国でレノーアと再会できるかを尋ねます。大鴉が「Nevermore」と答えると、主人公は叫び声をあげ、大鴉に冥界の岸に戻るよう命令します。大鴉は動きません。主人公は最後、大鴉の影の下に魂を閉じこめられ「Nevermore」と叫ぶ事しかできませんでした。

参考文献

・佐渡谷重信『エドガー=A=ポー』

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