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ポー「落とし穴と振り子」解説あらすじ

エドガー=アラン=ポー
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始めに

 ポー「落とし穴と振り子」解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ドイツロマン主義の影響

 ポーはドイツロマン主義からの影響が顕著です。具体的にはホフマン、シラー、ゲーテ(『ファウスト』『若きウェルテルの悩み』)などの作品から影響を受けました。

 ポーにはそこから幻想文学作品も多いです。

 また、ゲーテ『若きウェルテルの悩み』など、語り手や視点人物の内的世界の混乱、混沌はシェイクスピアなどより継承する、ロマン主義文学に典型的モチーフですが、ポーも継承します。

 またホフマンは『砂男』で信頼できない語り手を導入し、ポーもこれを得意としました。

ゴシック文学の系譜

 作家ホレス・ウォルポールの『オトラント城奇譚』がゴシック小説の先駆となり、以降はこのジャンルが連綿と継承されました。

 ポーも『アッシャー家の崩壊』など、このジャンルを代表する作品を多く手掛けたほか、本作もゴシック小説や墓地派を思わせる暗いムードやグロテスクな要素が特徴的です。

語りの構造

 語り手は、死刑が確定したうえ、即座にではなく、落とし穴、振り子、収縮する壁という、それぞれ異なる方法で、しかも時間をかけて緩慢に、死へと追い込まれます。

 わずかな脱出の可能性が見えたかと思えば、さらに絶望的な状況に直面するという繰り返しが、読者のサスペンスと主人公の心理的苦痛を増幅させます。

 ​主人公が閉じ込められた完全な暗闇の牢獄は、五感(特に視覚)を奪うことで、不安と混乱を最大限に高めます。

物語世界 

あらすじ

 舞台はトレドでの異端審問に設定されており、物語の冒頭では、語り手は自分が異端審問にかけられた経緯を語ります。

 彼は黒衣をまとった何人もの冷酷な判事の前に連れてこられ、死を宣告されたことを悟ります。目の前にあった7本の蝋燭が消えるとともに気を失った彼は、気がつくと真っ暗な部屋に放り込まれていました。墓の中に生き埋めにされたのではと恐れたものの、やがて地下牢であるらしいことがわかります。彼は暗闇で牢獄内を探るため、囚人服の裾を切り取り地面において目印とし、壁際にそって歩き始めるものの、途中で気を失います。

 次に目覚めると、語り手の傍には水とパンが置かれています。食事を取ったあとに調査を再開し、結果部屋の周囲はちょうど百歩であり、また石造りかと思っていた壁もよく調べると金属製でした。しかし、部屋の周囲が百歩というのは勘違いで、次に調べた時はちょうど五十歩でした。

 次に彼は部屋を横切ろうとして、囚人服の切れ端に足を取られ転倒します。床に顔を打ち付けたのに、顎より上に床の感触がありません。部屋の中央には深い大きな穴があり、危うく落ちかけたのでした。

 睡魔に襲われた語り手が再び気を失い、また意識を取り戻すと、牢獄内にはわずかに明かりがあって周囲が見渡せるものの、語り手は木の台に仰向けに縛り付られ身動きが取れなくなっています。語り手の頭上には「時の翁」を描いた天井画があるものの、「時の翁」が持っているはずの大鎌がなく、その代わりに先が鎌の形の巨大な振り子を吊るしています。

 振り子は前後に振幅しながら、縛られている語り手の心臓へゆっくりと降りてきます。語り手はわずかに動く手を使って、食料の肉を自分を縛り付けている革紐にこすりつけ、ネズミをたからせて食いちぎらせます。

 語り手が間一髪で解放されると、振り子は天井へと戻ります。

 しかし、異変があります。金属製の壁が高熱を帯びて、部屋の温度が熱くなってきています。さらに壁は部屋の中央にある落とし穴へとどんどん迫り出しています。

 ほとんど足の踏み場がなくなり、語り手が観念して目を閉じると、その耳に人の声がします。

 壁は後退し、気を失って穴に落ちかかった語り手を人の腕が伸びて支えます。それはナポレオン軍のラサール将軍の手でした。フランス軍がトレドを攻略し、異端審問所は敵軍の手に落ちたのでした。

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