PR

鴎外『うたかたの記』解説あらすじ

森鴎外
記事内に広告が含まれています。

始めに

 鴎外『うたかたの記』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

高踏派の作家

 森鴎外は、高踏派の作家とされています。

 これは“l’école parnassienne”の,上田敏の訳語で『現代高踏詩集』(Le Parnasse contemporain)の詩人のことです。芸術のための芸術たる芸術至上主義を唱道したゴーティエとルコント・ド・リールの下に詩人集い、この詩華集が刊行されたのでした。

 鴎外もこうした詩人の翻訳を手がけて影響されたため、高踏派と呼ばれます。

 高踏派は傾向としてロマン主義、象徴主義の特徴があり、主知主義的な理想主義をテイストとしています。

ルートヴィヒ2世について

 本作はルートヴィヒ2世の不審死を扱う内容で、そのバックステージものです。ちょっと伝奇小説のようなテイストです。

 ルートヴィヒ二世は散財や精神疾患を理由にベルク城に送られ、シュタルンベルク湖で医師のベルンハルト=フォン=グッデンと共に散歩に出た後で、その医師と水死しました。その死に関しては謎に包まれていて、また精神病に関しても、政治的対立を理由とした謀略ともされ、わからない部分が多くあります。

 本作ではルートヴィヒ二世の精神病について、ヒロインのマリイの母への思慕が理由となっていて、マリイにその母の面影を見て近づこうとして事故死する、という内容になっています。

狂気と恋

 本作では狂気のモチーフが描かれています。

 具体的にはルートヴィッヒ二世の恋ゆえの狂気と、マリイ=ハンスルの演じる自分を守るための狂気が対照的に描かれています。最後には主人公の巨勢も、狂気に取り憑かれつつあるさまが描かれています。

物語世界

あらすじ

 ドイツ・バイエルン王国の首都ミュンヘン。

 日本画学生の巨勢は、六年前にミュンヘンで出会った花売り娘のマリイ・ハンスルと再開します。巨勢はマリイのが忘れられず、自作のローレライのモデルとします。マリイは巨勢に接吻、驚く巨勢に、同行していた友人のエキステルが、彼女は狂っていると教えます。

 巨勢は、アトリエにマリイを呼び彼女への思いを伝えます。マリイには高名な画家の父スタインバハと彼女と同名の母親がいるとわかります。母はバイエルン国王ルードヴィヒ2世に想われています。父は国王から妻を守って怪我をして、やがて死に、母も悲しみから死にました。孤児となったマリイはミュンヘン郊外のスタルンベルヒ湖の漁師ハンスル家に引き取られました。マリイは、美術を学ぶためモデルとなっているが、誘惑の多い都会で身を守るために狂った振りをしているのでした。

 マリイに誘われ、巨勢はスタインベルヒ湖に向かいます。愛を確認した二人は、雨の湖の周囲を散策し船で遊びます。村外れの岸辺に、母マリイのへの想いから狂人となっていた国王がいました。国王は、マリイの姿にその母の幻影を見て、歩み寄ろうと湖に足を踏み入れます。マリイは恐怖から湖に落ち、国王も止めようとした侍医グッデンもろとも湖に落ちます。巨勢はマリイを助けるものの、杭に胸を打った怪我でマリィは死んでしまいます。

 国王の葬儀の日、心配したエキステルが巨勢のアトリエを訪問すると、彼はローレライの絵の前に跪いています。

参考文献

・小堀桂一郎『森鴎外: 日本はまだ普請中だ』

コメント

タイトルとURLをコピーしました