始めに
森鴎外「舞姫」解説あらすじを書いていきます。
背景知識,語りの構造
高踏派の作家
森鴎外は、高踏派の作家とされています。
これは“l’école parnassienne”の,上田敏の訳語で『現代高踏詩集』(Le Parnasse contemporain)の詩人のことです。芸術のための芸術たる芸術至上主義を唱道したゴーティエとルコント・ド・リールの下に詩人集い、この詩華集が刊行されたのでした。
鴎外もこうした詩人の翻訳を手がけて影響されたため、高踏派と呼ばれます。
高踏派は傾向としてロマン主義、象徴主義の特徴があり、主知主義的な理想主義をテイストとしています。
舞姫のモデル
本作のヒロイン、エリスのモデルはエリーゼ・マリー・カロリーネ・ヴィーゲルトとする六草いちかの説が有力とされています。
とはいえ、鷗外がドイツから帰国した後、おそらくはこのエリーゼが鷗外を追って来日して、滞在する出来事があり、彼女への説得を、鷗外の義弟小金井良精と、弟・森篤次郎が行ったものの、発狂したり廃人になったりするような展開は、鴎外の創作になっています。
物語世界
あらすじ
19世紀末。ドイツに留学する太田豊太郎は、日本へ向かう船に乗っている間、苦悩します。
豊太郎は父親をはやく亡くして母親に育てられます。大学法学部を卒業後は、某省で働き、やがて官長からドイツ留学を命じられ、ベルリンに向かいます。
ある日、クロステル通りの教会の前で、美少女エリスと出会います。豊太郎は彼女の父の葬儀代を工面してやり、それ以来、交流が続くものの、豊太郎がエリスに本を貸して学ばせる師弟のような関係です。エリスは貧しいために、ビクトリア座で舞姫をしていました。
ある同郷の人物がエリスとの仲について誇張して官長へ報告し、危うい立場となっていたところへ、この告げ口が加わり、豊太郎は免官となります。そんなとき、豊太郎は母親の死を手紙でしります。それを知ったエリスは、豊太郎の不幸を悲しみす。豊太郎は、エリスと離れられない仲となります。
友人相沢謙吉の紹介で日本の新聞社のドイツ駐在通信員になります。またエリスの配慮により、母親と暮らすエリスの住まいに同居します。
ある日、相沢から会いたいと連絡が入ります。相沢は、天方大臣の秘書官で、天方大臣とドイツに来ています。相沢の紹介で、豊太郎は天方大臣からドイツ語の文書翻訳の仕事をもらいます。相沢は豊太郎に対して、エリスとの仲を断ち、天方大臣から信頼を得て復帰するように言います。しかし、エリスは豊太郎の子を身ごもり、ビクトリア座から除籍されます。
豊太郎は、大臣とロシア訪問へ随行してフランス語の通訳をします。ロシアから戻ると豊太郎は、生まれてくる子どものためにエリスが用意したたくさんのオムツを目にします。
しばらくして大臣から呼び出され、一緒に日本へ帰るよう言われます。相沢を裏切れないし、この機会を逃したら、本国を失うと考えて、帰国することにします。帰り道、エリスにどう伝えるか悩み続け、公園のベンチに倒れます。目を覚ますと雪が積もっていて、家につくと人事不省に陥ります。
豊太郎は数日の間は目を覚まさず、その間に相沢が訪れて、豊太郎の隠していたことをエリスは知らされます。エリスはこれに発狂します。豊太郎が目を覚ますとエリスは赤子のようになっています。パラノイアと診断され、治癒は望めないと医師は言います。豊太郎は、エリスを抱いて涙を流します。
天方大臣に従って帰国するにあたり、豊太郎はエリスの母親に生活資金を渡し、子が生まれたときのことも頼みます。
参考文献
・小堀桂一郎『森鴎外: 日本はまだ普請中だ』
・六草いちか『鴎外の恋 舞姫エリスの真実』




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