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カーソン・マッカラーズ「心は孤独な狩人」解説あらすじ

カーソン・マッカラーズ
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始めに

カーソン・マッカラーズ「心は孤独な狩人」解説あらすじを書いていきます。

始めに

マッカラーズの作家性

​ マッカラーズは若い頃からロシア文学を熱心に読んでいました。チェーホフからの影響が大きく、停滞した日常や、報われない想い、静かな絶望を描く写実主義を学びました。ドストエフスキーの保守主義からも刺激があります。


​ また​アメリカの作家アンダーソンの代表作『わが町、ワインズバーグ』からも、マッカラーズは刺激を受けました。


​ ​同時代の、あるいは少し前の南部作家たちからも影響を受けています。フォークナーの南部特有の因習、人種問題を継承します。オコナーとは同時代人で、互いに南部ゴシックの旗手と目されましたが、オコナーの鋭利な宗教観に対し、マッカラーズはより情緒的でした。また意識の流れや心理的なリアリズムを重視するモダニズム作家たちも研究し、プルースト、ジョイスなどに学びました。


​ テネシー=ウィリアムズとは親しくし、相互的な影響があります。

孤独とは

 登場人物たちは皆、人種、階級、年齢、身体的特徴など、何らかの理由で社会から隔絶されています。孤独は個人の問題ではなく、人間である以上避けられない普遍的な条件だと描いています。誰もが誰かに理解されたいと切望していますが、その想いは決して相手に届くことはありません。


​ ​中心人物である聾唖者のジョン=シンガーは、他の4人の登場人物にとって自分を理解してくれる唯一の存在として神格化されます。シンガーは喋れないため、人々は自分の都合の良いように彼の沈黙を解釈します。しかし、シンガー自身もまた、遠くにいる友人を想い、深い孤独の中にいます。人々はシンガーを愛していますが、誰も本当のシンガーを見てはいません。

​ 当時のアメリカ南部が抱えていた社会の歪みも描かれています。黒人医師コープランドや労働運動家のブラントを通じて、不平等な社会構造が人々の精神をいかに蝕み、怒りや孤立を生むかが描かれます。また少女ミックが音楽への情熱を抱きながら、貧しさや大人の世界へ足を踏み入れる過程で抱く喪失感も重要です。

物語世界

あらすじ

 ​物語は、ジョン=シンガーが唯一の親友であり、同じく聾唖者のアントナプーロスと暮らしている場面から始まります。しかし、アントナプーロスが精神を病んで施設に収容されてしまい、シンガーは深い喪失感を抱えて下宿生活を始めます。


 ​言葉を発さず、いつも穏やかに微笑んで頷くシンガーのもとへ、彼を自分の理解者だと思い込んだ4人の人物が通い詰めるようになります。


​ ​彼らはそれぞれ異なる絶望や理想を抱えており、シンガーを一種の神や告解の場として扱います。​ミック=ケリーは音楽を愛する貧しい一家の少女で、大人の世界への階段を上りながら、内面に燃える芸術への情熱を誰にも語れず、シンガーにだけ心を開きます。ジェイク=ブラントは社会変革を夢見るアルコール依存症の労働運動家で、社会の不条理への怒りをシンガーにぶつけます。​ベネディクト=コープランドは黒人差別を撤廃しようと孤独な闘いを続ける老医師で、自身の理想と家族との断絶に苦しんでいます。​ビフ=ブラノンはカフェの店主で、周囲を観察し、人々の孤独を静かに見守りながら自分自身もまた虚無感を抱えています。

 ​4人は、シンガーが自分たちの話を完璧に理解してくれていると信じ込み、彼を心の支えにします。しかし、シンガー本人が見ていたのは彼らではなく、施設にいる親友アントナプーロスだけでした。


 ​ある日、シンガーは親友が亡くなったことを知ります。自分の世界のすべてだった存在を失ったシンガーは、拳銃で自ら命を絶ちます。

​ 彼らの神であったシンガーが突然消えたことで、4人は再び、以前よりも深い孤独の中へと放り出されます。ミックは働き始め、夢を諦めかけ、ジェイクは町を去り、コープランド医師は病に倒れます。それぞれの生活は続きますが、彼らが追い求めた「理解」はついに得られませんでした。

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