始めに
ポー「×だらけの社説」解説あらすじを書いていきます。
背景知識、語りの構造
ドイツロマン主義の影響
ポーはドイツロマン主義からの影響が顕著です。具体的にはホフマン、シラー、ゲーテ(『ファウスト』『若きウェルテルの悩み』)などの作品から影響を受けました。
ポーにはそこから幻想文学作品も多いです。
また、ゲーテ『若きウェルテルの悩み』など、語り手や視点人物の内的世界の混乱、混沌はシェイクスピアなどより継承する、ロマン主義文学に典型的モチーフですが、ポーも継承します。
またホフマンは『砂男』で信頼できない語り手を導入し、ポーもこれを得意としました。
ゴシック文学の系譜
作家ホレス・ウォルポールの『オトラント城奇譚』がゴシック小説の先駆となり、以降はこのジャンルが連綿と継承されました。
ポーも『アッシャー家の崩壊』など、このジャンルを代表する作品を多く手掛けたほか、ゴシック小説や墓地派を思わせるムードやグロテスクな要素が特徴的です。
雑誌文化とユーモア
エドガー=アラン=ポーのユーモアは、主に18世紀から19世紀初頭のイギリス文学やジャーナリズム、そしてヨーロッパの風刺文学から強い影響を受けています。
当時のイギリスの人気雑誌『ブラックウッド・マガジン』は、恐怖と笑いを紙一重で描く「センセーション小説」や、辛辣な批評で有名でした。ポーは、この雑誌の大げさな表現、ペダンチックな知識のひけらかし、残酷さを笑いに変えるスタイルから影響されています。
『×だらけの社説』のように、編集者同士の喧嘩や、印刷業界の内輪ネタを扱うスタイルは、当時の雑誌ジャーナリズムそのものです。
物語世界
あらすじ
主人公のブレットヘッド氏は、「ティー・ポットという新聞社の編集長です。彼は、ライバル紙「ガゼット」の編集長ジョン=スミスと激しく対立していました。
ある日、ブレットヘッド氏はスミスを痛烈に批判する社説を書くことにします。彼は文章に独特の癖があり、「O」という文字を多用するスタイルを好んでいました。
意気揚々と原稿を書き上げ、印刷所に回したブレットヘッド氏でしたが、ここで予期せぬトラブルが発生します。印刷係の少年がやってきて、「活字ケースから『o』の文字が一つ残らずなくなっている」と報告したのです。これはライバル紙による妨害工作でした。
しかし、頑固で短気なブレットヘッド氏は、原稿を書き直すことを拒否します。「o」がないなら、他の文字で代用すればいいと考え、すべての「o」を「x(バツ印)」に置き換えて印刷するよう命令します。
その結果、新聞に掲載された社説は、「×」だらけの解読不能な文章になってしまいました。
翌朝、街の人々はこの奇妙な社説を目にします。誰も意味を理解できませんでしたが、読者たちはこれを「単なるミス」や「意味不明な文」とは受け取らず、大衆は勝手な解釈を広げていきます。




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