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ロレンス『息子と恋人』解説あらすじ

D.H.ロレンス
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始めに

 ロレンス『息子と恋人』解説あらすじを書いていきます。

背景知識

モダニズム、ロマン主義

 ロレンスは、大きくモダニズムに括られる作家です。ただ、格別誰かに影響を受けていたり偏愛していたりとかはあまりないです。とはいえゲーテ『イタリア紀行』やエズラ=パウンドの影響でイタリアに旅行し、その後もメキシコなどの海外経験から国際的感覚を培って、それを創作の縁にするということはあって、傾向としては、ロマン主義的な精神、グランドツアーやそれによる国際色などは、作風としてしばしば現れます。

 またフォースターとは親交があり、そのモダニズム、リベラリズムを共有し、フォースター『モーリス』などを好みました。

出生と炭鉱町

 ロレンスは、炭鉱夫の父アーサー=ジョン=ローレンスと教師だった母リディアの第4子として生まれました。ノッティンガムシャー州ブロックストウ地区イーストウッドの炭鉱町で幼少期を送っています。炭鉱夫の組長で父アーサーと教養ある母リディアは不仲で、それもフォースターの作風に影響しました。

 本作もそうした経験を踏まえ、炭鉱夫の男とその妻の夫婦の不仲を描きます。

 石炭採掘は他に『チャタレイ夫人の恋人』や『恋する女たち』 、そして『菊の香り』などの短編小説にも表れます。

タイトルの意味

 息子が母から心理的にも身体的にも自立できず、母の束縛のもとで人生を浪費してしまう
というロレンス的テーマを凝縮した作品で、それがタイトルの所以です。

 息子は母を深く愛しているが、それは健全な親子愛ではなく、互いに依存し合う愛です。

 母は夫との不仲から息子を溺愛、支配し、息子の人生の選択(恋愛・結婚・仕事)に影響します。長男のウィリアムは結局母親同様に結婚がうまくいかず、病死します。次男のポールは母の支配から離れようと葛藤するものの、結局はずっと離れきれません。

 物語は、ポールの自立の失敗と、母子関係の悲劇を描いて終わるのでした。

物語世界

あらすじ

 古き良きブルジョアの洗練された娘、ガートルード=コッパードは、クリスマスのダンスパーティーで荒削りな鉱夫ウォルター=モレルと出会い、やがて結ばれます。

 しかし、ウォルターとの結婚後まもなく、借家でウォルターの給料だけで暮らすことの難しさに気づきます。夫婦は喧嘩を繰り返し、次第に疎遠になり、ウォルターは毎日仕事の後、パブにこもります。モレル夫人の愛情は、長男ウィリアムから始まり、徐々に息子たちへと移っていきます。

 少年時代、ウィリアムは母親に深く愛着を持ち、母親がいないと楽しむことができません。成長するにつれ、父親の暴力から母親を守るようになります。やがてノッティンガムシャーの家を離れ、ロンドンで仕事に就き、中流階級になります。婚約しますが、結局その浅はかな性格を嫌悪します。

 しかしそのウィリアムが亡くなり、モレル夫人は悲しみに暮れます。次男のポールが肺炎にかかった時、彼女はポールへの愛を再発見します。


 母親に反発しつつも惹かれるポールは、母親と別れることを恐れながらも、一人で外に出たい、そして愛を体験したいと願っています。彼は次第に、教会に通う農家の娘ミリアムと心を通わせます。二人は長い散歩に出かけ、本について会話を交わすものの、母親の反対を受けます。

 ミリアムの実家の農場で、ポールはクララ=ドーズと出会う。クララはフェミニスト的な考えを持つ若い女性で、夫のバクスターと別れたばかりです。

 ミリアムに肉体関係を迫ったポールは、満足できずに別れます。しかし、肉体的にも情熱的なクララと親しくなるにつれ、ポールは彼女と別ます。しかし、クララでは満たされず、ポールは母親の元へ戻ります。

 その後まもなく母親が亡くなり、ポールは一人になります。

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