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ポー「ボンボン」解説あらすじ

エドガー=アラン=ポー
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始めに

 ポー「ボンボン」解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ドイツロマン主義の影響

 ポーはドイツロマン主義からの影響が顕著です。具体的にはホフマン、シラー、ゲーテ(『ファウスト』『若きウェルテルの悩み』)などの作品から影響を受けました。

 ポーにはそこから幻想文学作品も多いです。本作もゲーテ『ファウスト』的な悪魔との契約を描きます。

 また、ゲーテ『若きウェルテルの悩み』など、語り手や視点人物の内的世界の混乱、混沌はシェイクスピアなどより継承する、ロマン主義文学に典型的モチーフですが、ポーも継承します。

 またホフマンは『砂男』で信頼できない語り手を導入し、ポーもこれを得意としました。

ゴシック文学の系譜

 作家ホレス・ウォルポールの『オトラント城奇譚』がゴシック小説の先駆となり、以降はこのジャンルが連綿と継承されました。

 ポーも『アッシャー家の崩壊』など、このジャンルを代表する作品を多く手掛けたほか、本作もゴシック小説や墓地派を思わせるムードやグロテスクな要素が特徴的です。

雑誌文化とユーモア

 エドガー=アラン=ポーのユーモアは、主に18世紀から19世紀初頭のイギリス文学やジャーナリズム、そしてヨーロッパの風刺文学から強い影響を受けています。

 当時のイギリスの人気雑誌『ブラックウッド・マガジン』は、恐怖と笑いを紙一重で描く「センセーション小説」や、辛辣な批評で有名でした。ポーは、この雑誌の大げさな表現、ペダンチックな知識のひけらかし、残酷さを笑いに変えるスタイルから影響されています。

 『×だらけの社説』のように、編集者同士の喧嘩や、印刷業界の内輪ネタを扱うスタイルは、当時の雑誌ジャーナリズムそのものです。

深遠さの風刺

 ​主人公のピエール=ボンボンは、一流の料理店主であると同時に当代一の哲学者という二つの顔を持っています。しかし彼は取引に目が無いという俗っぽい弱点があります。

 本作はボンボンのような知識人や哲学者の議論や高尚な思想が、実際には世俗的な欲望や滑稽な状況と紙一重であることを揶揄しています。

 ボンボンは悪魔との取引を持ちかけられるも、酩酊し、酷く下品に酔ったことで悪魔も魂を食べるのを嫌がって逃げようとしますが、ボンボンに攻撃されて倒れてしまうというドタバタが起こります。

物語世界

あらすじ

 ピエール=ボンボンは、フランス料理店のオーナー兼シェフとして名を馳せ、オムレツと形而上学的な哲学で知られています。ボンボンは店の猫でさえ知るほどの、深遠で天才的な人物です。

 酒好きのボンボンは、ある雪の降る冬の夜、真夜中頃に酒を飲んでいると、ある声が聞こえてきます。それは悪魔の声でした。

 悪魔が、古風な黒いスーツを着て現れます。そのスーツは彼には少し小さすぎるようで、緑色の眼鏡をかけ、片方の耳の後ろにスタイラスペンを挿し、胸ポケットには大きな黒い本が入っています。

 二人は会話を交わし、ボンボンは悪魔に哲学的な議論を迫ります。ボンボンは何か重要な倫理的思想を引き出して出版し、有名になりたいと願っています。ボンボンは悪魔には目がなかったことを知るものの、自分の視力はボンボンよりも優れ、より鋭いと確信します。悪魔は他人の考えを見ることができ、その視力は魂そのものなのだと語ります。

 二人は数本のワインを分け合うものの、ボンボンはしゃっくりを止められなくなります。悪魔は魂を食べると言い、これまで食べた有名な哲学者の長いリストと、それぞれの味の評価を語ります。ボンボンは自分の魂はシチューかスフレにふさわしいと言い、安く提供します。

 しかし悪魔はこの男のひどく不潔な酔いにつけ込むわけにはいかないと言い、拒否します。

 悪魔が去ろうとする時、ボンボンは悪魔に瓶を投げつけようとするものの、頭上に吊るされていた鉄のランプが外れて悪魔の頭に当たり、悪魔は倒れてしまうのでした。

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