始めに
ヴァージニア=ウルフ『オーランドー』解説あらすじを書いていきます。
背景知識、語りの構造
モダニズムと輪廻
T=S=エリオット『荒地』の下敷きとなった文化人類学者フレイザー『金枝篇』が、ネミの森の王殺しの儀式の伝統に対して、自然の象徴である森の王が衰弱する前に殺すことで、自然の輪廻と転生のサイクルを維持するためだという解釈を与えています。ここから以降のモダニズム文学に輪廻や転生のモチーフが現れるようになりました。
たとえばサリンジャー『ナイン=ストーリーズ』などにもその影響が伺えます。中上健次『千年の愉楽』、三島『豊饒の海』シリーズ(1.2.3.4)、押井守監督『スカイ・クロラ』などにも、モダニズムの余波としての転生モチーフが見えます。
本作はオーランドーという男が生きながら女性に転生して、その後何百年という年月を女性として生きていくというファンタジックな内容です。
モデルについて
本作はモデルがいて、それがウルフの女性の恋人である、ヴィタ・サックヴィル=ウェストです。1920年代後半に、ヴァージニア・ウルフとの恋愛が始まりましたが、当時ヴァージニアはレナード=ウルフと結婚していました。
『オーランドー』は、ヴィタとサックヴィル家の歴史をモデルに書かれています。ヴィタは中性的な容姿で自立的な女性だったらしく、そのあたりを反映して物語は展開されていきます。
全体的に彼女を讃えて趣味でつくった感じの内容で、実験的な語りは希薄で、全体的につくりは甘く、軽い読み物といった感じです。なんだかごく私的な意図において書かれたものを読まされている気持ちがします。
物語世界
あらすじ
主人公の青年貴族オーランドーは、エリザベス1世統治下のイギリスで生まれ、その美貌から女王の寵愛を受けます。
女王の死後、オーランドーはロシアの皇女サーシャと恋します。やがてサーシャに裏切られ心を痛めたオーランドーは、未完成のままだった詩集‘’The Oak Tree‘’の制作活動に取り組みます。
作詩活動をする中で、ニコラス・グリーンなど、当時の有名な詩人達との交流を楽しみます。その後詩人として挫折したオーランドーはチャールズ2世の指名でコンスタンティノープルに渡り、トルコ大使として政務に務めるものの、暴動の最中に7日間の昏睡状態になります。
眠りから覚めたオーランドーは身体が女性になっています。 そして女性に生まれ変わったオーランドーは、ジプシーとの生活を送るものの、やはり相容れず、再びイギリスに戻ります。
航海中、女性用の洋服を着用しなければならないことや彼女と恋に落ちた船員とのやり取りを通じてオーランドーは、女性であることの歓びを覚えます。
イギリス社交界に舞い戻ったオーランドーは、詩集‘’The Oak Tree‘’で賞を取ります。
その後、オーランドは、結婚・出産を経て、女性として余生を送りました。
参考文献
・ナイジェル=ニコルソン『ヴァージニア・ウルフ』




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