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バイロン『チャイルド・ハロルドの巡礼』解説あらすじ

ジョージ・ゴードン・バイロン
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始めに

バイロン『チャイルド・ハロルドの巡礼』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

バイロンの作家性

​ バイロンはロマン派の代表格でありながら18世紀のアレキサンダー=ポープを熱狂的に崇拝していました。緻密な韻律や、鋭い風刺の精神を学びました。


 ​バイロン的な孤独で誇り高く、罪を背負った英雄の原型は、ミルトンの『失楽園』に登場するサタンにあります。神に逆らい、地獄に落とされてもなお自尊心を失わないサタンの姿に、バイロンは強い共感を覚えました。


​ ​フランスの哲学者ルソーの自然への回帰や自己の感情の絶対視は、バイロンの思想の根底にあります。


 ドイツ文学の巨匠ゲーテ、特に『若きウェルテルの悩み』や『ファウスト』は、バイロンに多大なインスピレーションを与えました。


​ ​シェリーとの親交は重要です。1816年のスイス滞在時、シェリーと共に過ごす中で、より哲学的形而上学的なテーマへと関心を広げました。またこの時期の怪談会が、メアリー=シェリーの『フランケンシュタイン』や、バイロンの断片から生まれた『吸血鬼』の誕生を促しました。

ロマン主義的テーマ

 ​主人公ハロルドは、若くして贅沢や快楽に飽き果て、深い倦怠と虚無感を抱えています。故郷を離れ、どこにも居場所がない異邦人としての孤独、過去に犯した過ちや消えない心の傷を抱えながら旅を続ける姿など。


​ ​ハロルドはポルトガル、スペイン、ギリシャ、イタリアなどを巡りますが、彼の視線は常にかつての栄光と現在の衰退に向けられています。ローマやギリシャの遺跡を眺め、帝国の興亡と人間の営みの儚さを嘆きます。時間はすべてを破壊するが、その廃墟こそが美しいというロマン主義的な感性が貫かれています。


​ ​人間社会に失望したハロルドにとって、唯一の救いは自然でした。荒れ狂う海や険しいアルプスなど、人間を圧倒する巨大な自然の中に神聖さを見出し、自分を同化させようとします。群衆の中の孤独ではなく、大自然の中での独りを愛する姿勢が強調されています。


​ ​バイロン自身の思想が強く反映されている点ですが、抑圧された諸国民への同情も大きなテーマです。当時オスマン帝国の支配下にあったギリシャや、ナポレオン戦争後の混乱期にある国々に対し、自由のために立ち上がるよう呼びかけています。

物語世界

あらすじ

 貴族の青年ハロルドは、放蕩三昧の生活に飽き果て、心の空虚を埋めるためにイギリスを旅立ちます。​

 ポルトガルでは自然の美しさに感動しつつも、政治的な腐敗に冷めた視線を送ります。スペインではナポレオン軍と戦うスペインの人々の勇気と、戦争の悲惨さを対比させて描きます。
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 ハロルドは地中海を渡り、バイロンが愛したギリシャへと向かいます。かつて民主主義と芸術の頂点だったギリシャが、今はオスマン帝国の支配下で荒廃している様子を嘆きます。友も恋人もいないという孤独を噛み締め、内省的な傾向が強まります。


​ ナポレオンが敗れた戦場を訪れ、人間の野心と歴史の虚しさを考察します。スイスのレマン湖やアルプス山脈の壮大な自然に触れ、人間界よりも自然の一部になりたいという強い願望を抱きます。


​ イタリアでは 崩れゆく宮殿やコロッセオを眺め、人類の歴史も芸術も、結局は時間に抗えないことを悟ります。


​ 詩の最後は、人間の力では決して汚すことのできない永遠なる大海原への感動的な呼びかけで幕を閉じます。

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