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デラメア『シートンのおばさん』解説あらすじ

デラメア
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始めに

デラメア『シートンのおばさん』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

デラメアの作家性

 恐怖のなかに美を見出す耽美的なスタイルや、精神の崩壊を描く手法において、ポーの影響は無視できません。デラメアはポーを高く評価しており、自身の怪奇小説にもそのエッセンスが溶け込んでいます。


​ ヘンリー=ジェイムズ『ねじの回転』に見られるような、幽霊は本物か、それとも登場人物の心理的投影かという朦朧法を継承します。


​ 詩人としての側面を形作ったのは、音楽的で象徴豊かな作家たちです。ロセッティ、ブレイクなどから影響があります。またルイス=キャロル、​グリム兄弟からの影響もあります。


​  デラメアはトマス=ハーディと親交があり、彼の叙情的な自然描写や、運命に対する静かな諦念に共鳴していました。

朦朧法の恐怖

 この作品の最大のテーマは、物理的な血ではなく他者の生命力や精神を糧にする存在の恐怖です。おばさんはシートンのプライバシーや魂を侵食し、彼を心理的に追い詰めます。シートンが彼女は僕を食べているんだと感じる通り、彼女の存在そのものが彼の生命を枯渇させていきます。彼女はシートンの死を待ち望んでいるかのようであり、彼が死んだ後ですらその墓前で何かを収穫しているような描写があります。

 ​デ・ラ・メア特有の超自然的な現象なのか、それとも狂気なのかという曖昧さが物語を支配しています。語り手であるウィザーズはシートンの友人で、最初はおばさんを風変わりな老人として見ていますが、次第に屋敷に漂う異様な空気感に抗えなくなります。屋敷には何かがいる気配が常に漂っていますが、それがおばさんの操る悪霊なのか、それともシートンの恐怖が生み出した幻想なのか、最後まで明確にはされません。この説明しきらない不気味さこそがテーマの核です。

​ そして家庭という閉鎖的な空間における逃げ場のなさが描かれています。シートンは大人になっても、子供の頃におばさんに対して抱いた恐怖から逃れることができません。逃げ出そうと試みても結局は屋敷に引き戻されるシートンの姿は、家系や血縁という逃れられない運命に対する絶望を象徴しています。

物語世界

あらすじ

 語り手のウィザーズは、同級生のシートンに誘われ、彼が一緒に暮らす「おばさん」の屋敷を訪れます。そこで目にしたのは、異常に巨大で、贅沢な食事を平らげ、不気味な洞察力を持つおばさんの姿でした。
 シートンは怯えながらウィザーズに囁きます。「あいつは僕の考えていることが全部わかるんだ。それに、ここには『死んだ連中』がいて、おばさんはそいつらと通じているんだ」と。
 

​ ウィザーズは屋敷に漂う異様な空気と、シートンの怯えように嫌悪感を抱き、逃げるように去ります。

 ​数年後、大人になったウィザーズはシートンと再会します。かつての面影はなく、シートンはひどく衰弱していました。彼は美しい婚約者アリスを得て、おばさんの呪縛から逃れようとしていましたが、おばさんはその結婚を冷酷に阻もうとしていました。シートンは訴えます。「彼女は僕を食べているんだ。僕の生命力を吸い取っているんだ」と。


​ ​ウィザーズが再び屋敷を訪れると、事態はさらに悪化していました。おばさんは相変わらず優雅に、しかし怪物的な食欲で食事を楽しみ、シートンは目に見えない何かに怯えきっています。


 結局、シートンはおばさんの支配から逃れることなく、アリスとの結婚も叶わぬまま、急死してしまいます。


 後日、ウィザーズはシートンの墓を訪れます。そこで彼が目撃したのは、シートンの墓の前に立ち、まるで獲物を仕留めた後の満足感を漂わせているおばさんの後ろ姿でした。
 

 彼女が去った後、そこには言葉にできない空虚さと、彼女が勝利したという冷厳な事実だけが残されていました。

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