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ゴーゴリ『検察官』解説あらすじ

ニコライ=ゴーゴリ
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始めに

 ゴーゴリ『検察官』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ロマン主義から写実主義へ

 ゴーゴリはプーシキン(『大尉の娘』『スペードの女王』)、ホフマン、シャミッソーなど、ロマン主義の作家から影響をうけました。本作も幻想文学的なテイストが濃厚です。

 特に文学的師としたのはプーシキン(『大尉の娘』『スペードの女王』)で、終生影響を受け続けました。プーシキンは、シェイクスピアの影響が大きいですが、本作もシェイクスピア作品やイギリスルネサンス演劇のような、アイデンティティの誤認とすれ違いがもたらすドタバタ喜劇です。

 ゴーゴリ―の後継とみなされたのはドストエフスキーで、ゴーゴリは初期にはホフマンやプーシキンのロマン主義の影響下でウェルメイドなロマン主義的小編をものしていたものの、晩年の本作は本人の精神状態の悪化も相まってアンバランスでグロテスクな写実主義を展開していますが、ドストエフスキーも似たようなキャリアをたどりました。

ゴーゴリとその時代、官僚制

 ピョートル大帝が官等表を導入して以来、軍人や官僚が平民から国家への奉仕を通じて世襲貴族になることを認められ、人々は出世にこだわるようになりました。立身出世のために人々は階級に代表される見栄や体裁にこだわるようになっていきます

 ゴーゴリはそんな時代を背景に物語を展開しています。官僚として立身出世にとりつかれ、汚職などの不正義が蔓延するロシア社会への批判は『狂人日記』にも見えます。

 本作ではロシアの小さな町の、市長ら腐敗した役人たちが、身元を明かさない検察官が町へ調査にやってくるという知らせを受けます。2週間前にサンクトペテルブルクから不審な人物が来て宿屋に泊まっているという報告があり、それはお調子者の公務員、イワン=アレクサンドレーエヴィチ=フレスタコフでしたが、フレスタコフを地元の役人らが検察官と誤解し、なんとかご機嫌を取ろうとして担がれる姿を本作はコミカルに描いています。

物語世界

あらすじ

 ロシアの小さな町の腐敗した役人たちは、市長を筆頭に、身元を明かさない検察官が町へ調査にやってくるという知らせにパニックになります。2週間前にサンクトペテルブルクから不審な人物が来て宿屋に泊まっているという報告があります。その人物は検察官ではなく、お調子者の公務員、イワン=アレクサンドレーエヴィチ=フレスタコフでした。

 フレスタコフはホテル代を払っておらず、請求書に請求しただけだったそうです。さらに、彼の当初の旅行先はサラトフ県だったのに、なぜか彼はこの町に長く滞在しています。そのため、市長と取り巻きたちは、フレスタコフが恐ろしい検察官であると確信します。しかし、フレスタコフは自分が誰かと間違えられていることにさえ気づいていません。その間、フレスタコフは役人たちから向けられる敬意を楽しみ、市長の家に客として移り住みます。そして市長とその仲間全員に多額の「融資」を要求して受け取ります。また、市長の妻と娘にちょっかいを出します。

 市長の賄賂要求にうんざりした町のユダヤ人と古儀式派の商人たちがやって来て、フレスタコフに職を解いてほしいと懇願します。市長の強欲さと腐敗に驚いたフレスタコフは、市長ら鎖につながれてシベリアに流刑されるに値すると主張します。しかしフレスタコフは商人たちにさらなる「融資」を求め、彼らの要求に応じると約束します。

 市長は失脚を恐れ、フレスタコフに逮捕しないよう懇願するものの、フレスタコフは市長の娘と婚約してしまいます。フレスタコフは従者のオシップから、この茶番劇を続けるのは危険すぎると説得され、サンクトペテルブルクに戻ることにします。

 フレスタコフとオシップが村で一番速い馬に引かせた馬車に乗って出発すると、市長の友人たちが全員、フレスタコフを祝福するためにやって来きます。市長は自分が優位に立ったと確信し、商人たちを召集して娘の婚約を自慢し、商人たちから徹底的に搾り取ると誓います。しかし、郵便局長が突然、差し押さえた手紙を持ってやって来て、フレスタコフの正体と、フレスタコフからの一同に対する嘲笑的な意見を伝えます。

 市長は、自分も何年も知事を騙しあらゆる種類の犯罪者をゆすってきたものの、このような屈辱を受けたことに激怒します。市長は取り巻きに向かって、自分ではなくお前らのせいだと叫びます。第四の壁を破り、「何を笑っているんだ? 自分たちを笑っているんだぞ」と叫びます。

 取り巻きらが言い争っている間、本物の政府検察官からメッセージが届き、市長にすぐに会うよう要求するのでした。

参考文献

・アンリ=トロワイヤ (著), 村上 香住子 (翻訳)『ゴーゴリ伝』

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