PR

ゴーゴリ「鼻」解説あらすじ

ニコライ=ゴーゴリ
記事内に広告が含まれています。

始めに

 ゴーゴリ「鼻」解説あらすじを書いていきます。

 

背景知識、語りの構造

ロマン主義から写実主義へ

 ゴーゴリはプーシキン(『大尉の娘』『スペードの女王』)、ホフマン、シャミッソーなど、ロマン主義の作家から影響をうけました。本作もプーシキン、ホフマン、シャミッソーを思わせる幻想的な内容です。

 特に文学的師としたのはプーシキン(『大尉の娘』『スペードの女王』)で、終生影響を受け続けました。

 ゴーゴリ―の後継とみなされたのはドストエフスキーで、ゴーゴリは初期にはホフマンやプーシキンのロマン主義の影響下でウェルメイドなロマン主義的小編をものしていたものの、晩年の本作は本人の精神状態の悪化も相まってアンバランスでグロテスクな写実主義を展開していますが、ドストエフスキーも似たようなキャリアをたどりました。

 本作はドストエフスキー「分身」にもにて、幻想文学要素をリアリスティックな風刺的喜劇と巧みにフュージョンしています。

分身とアイデンティティ、階級

 「鼻」はある朝目覚めると鼻がなくなってしまったコワリョフ評議員(少佐)の物語です。鼻を何とか取り戻そうとするコワリョフですが、自分の鼻が生命を得て、どうやら自分より上の国家評議員の地位に就いてしまいます。

 ピョートル大帝が官等表を導入して以来、軍人や官僚が平民から国家への奉仕を通じて世襲貴族になることを認められ、人々は出世にこだわるようになりました。本作はそんな時代の風俗を風刺しており、コワリョフも出世と階級に取り憑かれていて、自分を出し抜いた自分の鼻に気恥ずかしい思いをします。

 「自分の鼻がなくなり、勝手に活動しだす」という幻想的要素が何の象徴であるのかは明示されていませんし設定されていないのかもしれませんが、ここで鼻はシャミッソー『影をなくした男』の影や、ドストエフスキー「分身」の分身のような感じで自らのアイデンティティを担って共有する存在として描かれています。

物語世界

あらすじ

 3 月 25 日、理髪師のイワン=ヤコヴレヴィチは、妻がパンを焼いたことを知ります。朝食中にパンを半分に切ると、その中に鼻が 1 つありました。イワンは恐怖し、この鼻が常連客の 1 人であるコワリョフ評議員 (「コワリョフ少佐」) のものであると気が付きます。

 イワンの妻は鼻を家から運び出すよう求めたので、イワンはそれを布で包み、橋からネヴァ川に投げ込もうとします。しかしイワンは警官に捕まり、賄賂を要求しますが、警官はそれをはねつけます。

 コヴァリョフ少佐は目を覚ますと、自分の鼻がないことに気づきます。鏡を見ると、鼻の代わりに平らな皮膚があるだけでした。コヴァリョフ少佐は家を出て警察署長に事件を報告します。

 その途中で、自分の鼻が高官の制服を着て人間のふりをしているのを目にします。コヴァリョフ少佐はそれを追いかけるものの、顔に戻ってきません。コヴァリョフはかわいい女の子に気をとられ、その間に鼻は逃げます。

 コワリョフは警察署長に連絡を取ろうとするものの、不在でした。次に新聞社で鼻を失ったことに関する広告を出すものの、断られます。次に警部と話をするものの、協力を拒否されます。

 コワリョフは自分のアパートに戻り、イワンを捕まえた警察官が鼻を返してくれます。コワリョフはしかし、医者の助けを借りても鼻を再びくっつけられませんでした。

 翌日、コワリョフは、娘との結婚を望んでいるアレクサンドラ=グリゴリエヴナ=ポトチナ夫人に手紙を書き、鼻を盗んだと非難します。コワリョフ少佐は呪いを解いてくれるよう彼女に頼むが、彼女は手紙に困惑します。彼女の返事で、コワリョフ少佐は彼女が無実であると確信します。街では、鼻の活動に関する噂が広まり、それを探す群衆が集まります。

 4月7日、コワリョフは鼻が元通りになった状態で目を覚まします。床屋で丁寧にひげを剃ってもらい、買い物や女の子との遊びといった昔の習慣に戻った。

参考文献

・アンリ=トロワイヤ (著), 村上 香住子 (翻訳)『ゴーゴリ伝』

コメント

タイトルとURLをコピーしました