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カポーティ「ティファニーで朝食を」解説あらすじ

カポーティ
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始めに

カポーティ「ティファニーで朝食を」解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

プルーストとフロベール

 カポーティが顕著な影響を受けたのがプルーストとフローベールです。

 特にプルーストを文学的な師匠として、その反ブルジョワ的テーマ、ロマン主義的テイスト、自己実現をめぐるドラマ、時間と記憶をめぐるテーマなど、特に顕著な影響を受けました。一方で、文章やスタイルなどにおいては、プルーストなどのモダニズム的なスタイルを採用せずに、もっとクラシックなスタイルでもって展開しました。本作も『失われた時を求めて』のように、ブルジョワ文化の広まるなかで社交界での見栄や栄光に翻弄されて、ただ時間ばかりを失う孤独なホリーを描きます。

 規範としたのは、プルーストの先駆となった作家であるフロベールで、その端正な表現と写実主義、ブルジョワ社会への風刺性などを継承しています。本作も『ボヴァリー夫人』のエマの如き、ロマンチックで孤独なヒロインホリーが印象的です。

 作風でかなり近いのはフィッツジェラルドでしょうが、フィッツジェラルドの作品はカポーティも好んでいました。

モデル

 主人公のホリーは、母親や周囲の女性がモデルです。

 カポーティの母親のリリー=メイはもともと息子を中絶しようとしており、出産後も息子を親戚に預けて男性を渡り歩きました。幼いカポーティはアラバマ州のおばの家に預けられ、リリー=メイはニューヨークではニーナと名乗り活動していました。母はときどき来てカポーティに謝ってはニューヨークへ向かいました。最終的に、彼女は自殺します。幼いカポーティはそんな母を慕い、本作にも見える語り手が向ける、自由で孤独なホリーへの共感と同情はそのあたりに由来します。

 他にカポーティのマンハッタン社交界の友人たちであるキャロル=グレイス、グロリア=ヴァンダービルト、ウーナ=オニール=チャップリン、グロリア=ギネス、ベイブ=ペイリーが推測されるほか、マーガレット=リットマンがモデルとされます。

映画との比較

 ブレイク=エドワーズ監督の映画版のほうが有名ですが、個人的には映画は良くないです。

 映画版との大きな違いとして、本作の無名の語り手にあたる主人公ポールがホリーと最後に結ばれてハッピーエンドになるなど、語り手がさらに重要なキャラクターになってホリーとのメロドラマ色が強くなっています。

 しかし先述の通り、ホリーはカポーティの母がモデルで彼女への語り手の視線はカポーティの母への思慕と共感もベースになっているので、この脚色は原作のニュアンスを損ねます。語り手がホリーに向ける感情は、恋愛というよりシンパシーと共感でしょう。

 それはさておき、とにかくこの映画はオシャレセンスが全く無くて野暮ったい内容で、マンシーニ作曲「ムーン・リバー」だけは原作のイメージ通りで素晴らしいんですが、オシャレが最大のアイデンティティの作品からオシャレを抜いたことで、「醤油ラーメン醤油抜き」みたいな謎コンテンツになっています。

デヴィッド=フィンチャー監督なんかにリメイクを撮ってほしいです。

物語世界

あらすじ

 1943年秋、無名の語り手はホリー=ゴライトリーと親しくなります。二人はマンハッタンのアッパー=イースト=サイドにあるブラウンストーンのアパートの住人です。

 ホリーは田舎娘からニューヨークのカフェ=ソサエティの仲間入りをします。彼女は仕事をせず、裕福な男性と付き合って暮らします。男たちはホリーをクラブやレストランに連れて行き、彼女にお金や高価な贈り物をくれます。

 ホリーの古い友人、ジョー=ベルは、偶然見つけた木像がゴライトリーをモデルにしていると信じ、語り手に連絡を取ります。それは1956 年のものだと言われているので、何年も経っているようです。

 語り手は、ホリーに会った夜のことを思い出します。ホリーは、その夜、一緒に家に帰ってきた男から逃げるために、語り手の家の窓をよじ登ります。彼女は、語り手が兄のフレッドに似ているといい、彼をそう呼んでもいいか尋ねます。話を続けると、ホリーは今日が木曜日であることに気づき、毎週木曜日に 100 ドルと引き換えに囚人サリー=トマトを訪問していると語り手に話します。

 ホリーのアパートには、たくさんの人たちが出入りします。ホリーは語り手と話し、不安なときにティファニーだけが心を落ち着かせてくれる場所だと言います。

 語り手とホリーは親しくなるものの、些細なことで争いになる。疎遠になるものの、語り手はホリーが付きまとわれていると疑い、この人物に警告するために争いをおさめようと考えます。

 そして語り手は、彼女を監視していた男と対峙します。男は語り手にホリーの過去を語ります。彼は、ホリーがルラメイ=バーンズとして生まれたこと、そして自分が彼女の夫であるドク=ゴライトリーであることを明かします。ドクはホリーを説得してテキサスに一緒に帰らせようとするものの、ホリーはニューヨークに留まるというのでした。

 ホリーは兄が戦争で亡くなったことを知り、落ち込みます。やがてホセ=イバラ=イェーガーという人物と関係を持ち、彼と一緒にブラジルに移住することを計画します。

 しかしホリーの刑務所訪問は疑惑を招き、サリー=トマトが麻薬組織を運営していたという証拠が明らかになり、ホリーは逮捕されます。ホセは彼女に手紙を送り、逮捕されたため将来一緒になることは考えられないと伝えます。

 保釈された後、彼女は一人でブラジルに行くつもりです。出発前に彼女は飼っていた猫を逃がします。語り手は彼女から短いメモを受け取るものの、それ以外は何も聞かないのでした。

 しかし、語り手は彼女が自分の家のように感じられる場所を見つけることを祈っています。

参考文献

Clarke, Gerald. “Capote: A Biography”.

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