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カポーティ『冷血』解説あらすじ

カポーティ
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始めに

 カポーティ『冷血』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

プルーストとフロベール

 カポーティが顕著な影響を受けたのがプルーストとフローベールです。

 特にプルーストを文学的な師匠として、その反ブルジョワ的テーマ、ロマン主義的テイスト、自己実現をめぐるドラマ、時間と記憶をめぐるテーマなど、特に顕著な影響を受けました。一方で、文章やスタイルなどにおいては、プルーストなどのモダニズム的なスタイルを採用せずに、もっとクラシックなスタイルでもって展開しました。

 規範としたのは、プルーストの先駆となった作家であるフロベールで、その端正な表現と写実主義、ブルジョワ社会への風刺性などを継承しています。本作も『ボヴァリー夫人』のエマの如き、ロマンチックで孤独なヒロインホリーが印象的です。

 作風でかなり近いのはフィッツジェラルドでしょうが、フィッツジェラルドの作品はカポーティも好んでいました。

南部ゴシック、ゴシック

 本作は親交のあったフォークナーと重なる作風です。

 フォークナー作品では南部の保守的な風土の中での登場人物の苦悩が描かれます。そうした作品は南部ゴシックと形容され、これはホーソン(『緋文字』)、メルヴィル、トウェイン、ポー(『アッシャー家の崩壊』)などのアメリカのゴシック文脈を先駆とし、保守的風土のなかでの悲劇を描くジャンルです。

 本作の舞台は南部ではないものの、フォークナーの南部ゴシックと重なる特徴が多いです。特に加害者の一人であるペリー=エドワード=スミスは貧しく不幸な境遇のなかで育ち、恵まれない子供時代を過ごしたカポーティも深い共感を寄せて取材したとされます。

モデル

 本作はハーバード=クラッター農場一家殺人事件をモデルにします。

 被害者ハーバート(ハーブ)=クラッターはカンザス州西部の裕福な農家でした。公正な待遇と賃金を労働者に与えて尊敬されていました。彼の2人の年上の娘、イヴアナとビバリーは家を出ており、彼の2人の年下の子供、16歳の娘ナンシーと15歳の息子ケニオンは高校生でした。クラッターの妻ボニーは子供たちの出産以来、臨床的うつ病と身体疾患でした。被害に遭ったのは、ハーバート、ナンシー、ケニオン、ボニーです。

 加害者は、カンザス州刑務所から仮釈放されたばかりのリチャード=ユージーン=ヒコックとペリー=エドワード=スミスという2人の元受刑者です。ヒコックの元同房者フロイド=ウェルズはハーブ=クラッターの下で働いており、クラッターが多額の現金を金庫に保管しているとヒコックに話していました。ヒコックはこの金庫を盗んでメキシコで新生活を始めようとし、同じく元同房者のスミスに連絡を取って一緒に強盗をしようとしました。実際には、ハーブ=クラッターは金庫を持っておらず、基本的に取引を小切手で行っていました。

 1959年11月15日、ヒコックとスミスはホルコムに到着し、クラッター家を見つけて犯行に及びました。しかし金庫などもとよりそこにはありません。目撃者への対応に困りますが、スミスとヒコックの間で険悪になり、何もできないヒコックに力を誇示するように、激昂しやすいスミスは、ハーブ=クラッターの喉を切り裂き、頭を撃ちました。それからケニヨン、ナンシー、夫人も、それぞれ頭部にショットガン一発を撃って2人が殺害しました。

 ヒコックは自白の中でスミスが全ての殺人を実行したと主張したと証言しました。他方スミスは当初ヒコックが女性2人を殺したと主張したものの、後に自分で撃ったと主張しました。

物語世界

あらすじ

 1959年11月16日、カンザス州のとある寒村で、農場主の一家4人が自宅で惨殺されているのが見つかります。農場主はのどを掻き切られ、至近距離から散弾銃で撃たれ、家族はみな、手足を紐で縛られ至近距離から散弾銃で撃たれていました。

 強い怨恨を感じさせるものの、被害者の農場主は誠実な人柄で知られ、周辺住民とのトラブルもありませんでした。家族もまた同様でした。

 事件の捜査を担当したカンザス州捜査局の捜査官は、強盗の可能性も視野にいれるものの、女性の被害者には性的暴行の痕跡もなく、被害者宅からはほとんど金品が奪われていないため、強盗としては不自然で、そもそも農場主は現金嫌いで、支払いは小切手で済ませることで有名でした。被害者宅に現金がほとんどないことも、周辺住民ならば誰でも知っています。

 事件の捜査を担当したカンザス州捜査局の捜査官たちは苦戦するものの、やがて有力情報を得て、加害者2名を逮捕します。

 加害者2名は捜査官に対して、事件の真相と自らの生い立ちを語ります。

参考文献

Clarke, Gerald. “Capote: A Biography”.

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