始めに
トーマス=マン『ヴェニスに死す』解説あらすじを書いていきます。
背景知識、語りの構造
リアリズムの影響
トーマス=マンは、リアリズム文学からの影響が顕著です。
特に影響を受けたのが、フォンターネというドイツの詩的リアリズムの作家で、シニカルでリリカルなリアリズムを特徴とします。
またロシアの写実主義からも影響が大きく、ニコライ・ゴーゴリ(『死せる魂』)、イワン・ゴンチャロフ、イワン・ツルゲーネフ(『父と子』『初恋』)に見える自己批判は、本作にも顕著に見えます。
ドイツなどのロマン主義の影響
マンはゲーテ(『ファウスト』『若きウェルテルの悩み』)を終生尊敬していました。ゲーテは古典や形式を重視する古典主義者であると同時に、作家や個人の主体性や形式主義的実験を重んじるロマン主義者としての側面があり、どちらかというとマンは前者の古典主義者としてのゲーテからの影響が顕著で、守旧的なスタイルを特徴とします。
またゲーテのロマン主義を継承するレフ・トルストイからも影響が顕著です。
同性愛
本作は同性愛的な性を描いていて、そのあたりは『トニオ=クレエゲル』を連想させられます。
であった少年に惹かれてストーカーになり、彼から離れられずに死を迎える主人公の作家の姿を、シニカルかつややコミカルに描いています。
物語世界
あらすじ
20世紀初頭のミュンヘン。
著名な作家グスタフ・フォン・アッシェンバッハは、イギリス庭園を散策し、異国風の男を見て旅したくなります。
アドリア海沿岸の保養地に出かけるものの、嫌気がさしてヴェネツィアに向かいます。ホテルには長期滞在している上流階級のポーランド人家族がおり、その息子タジオの美しさにアッシェンバッハは魅了されます。
やがて少年の後をつけたり家族の部屋をのぞくようになります。著名な作家である彼は、美少年への恋で堕落していきます。しかしヴェネツィアにはコレラが迫ります。
滞在客たちは逃げるものの、アッシェンバッハは美少年がいるため離れられません。少年とその家族がついにヴェネツィアを旅立つ日、アッシェンバッハはコレラで死にます。
参考文献
・村田 經和『トーマス=マン』




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