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ヘッセ『車輪の下』解説あらすじ

ヘルマン=ヘッセ
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始めに

ヘッセ『車輪の下』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ドイツロマン主義の影響

 ヘッセは、ドイツのロマン主義の作家であるゲーテ(『ファウスト』『若きウェルテルの悩み』)やシラーの作品からの影響を顕著に受けました。

 特にゲーテの文学の特徴となる個人や個性、感受性や直感の尊重、反俗的なテーマは、ヘッセの文学の基調となっていきます。

 またニーチェの思想からの影響も顕著で、そこから超越的なものの存在を信じつつも、教会などの教条主義を批判的にみる視点を養いました。こうしてヒンドゥー教や仏教から影響を受けつつキリスト教を批判的に消化し、自分の人生との関係の中で捉え直そうとします。

ゲーテ作品との比較

 ゲーテの『若きウェルテルの悩み』は、青年ウェルテルが婚約者のいるシャルロッテに恋をし、絶望して自殺するまでを描いています。この作品は、個人の理想と現実の衝突を描いていると言えます。

 またゲーテ『ファウスト』では、学問や研究に幻滅し、悪魔と契約するファウストが描かれます。知識に幻滅していたファウストですが、最後には利他的な実践の中に、自分の救いを見出します。

 本作『車輪の下』においては、主人公のハンスは学校や学問と自分の理想の不一致を感じ、絶えず苦しみます。学校は教条主義を押し付けるばかりで、ハンスの個性や主体性は尊重されていないと感じます。やがて精神疾患になり、地元で機械工の仕事に少し満たされるものの、幼い頃から学問ばかりで他者と人間らしい関係をつくることができず、最後も理想と現実の不一致に悩んだまま、精神的な混乱の中で死を遂げます。それは自殺かもしれないし、事故かもしれません。

物語世界

あらすじ

 マウルブロンの神学校に送られたハンス・ギーベンラート。

 そこでは教育は知識偏重で、個人の成長はなおざりにされています。ハンスにとって、より同級生ヘルマン・ハイルナーとの友情は慰めでしたが、ハイルナーは神学校から追放されてしまいます。その後、ギーベンラートは精神疾患により学業成績が低下し、家に戻ります。

 ハンスは幼少期のほとんどを学問に費やし、村の誰とも人間らしい関係を築けません。しかし機械工の見習いで仕事に満足を感じます。それは学問と違って、本能的で具体的なものでした。

 それでもハンスは現実に違和感を持ち続けます。そんな中、隣村のパブで同僚と酒を飲、ハンスはグループを離れて早めに家に歩いて帰り、川で溺死しているのが見つかります。

参考文献

・高橋健二『ヘルマン・ヘッセ: 危機の詩人』

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