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イプセン『人形の家』解説あらすじ

イプセン
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始めに

 イプセン『人形の家』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

タイトルの示す意味

 主人公のノラは、最後に夫のヘルメルのもとを去ります。

 この理由はなかなか複雑で、さまざまな要因があります。最後にノラは夫の軽蔑的で見下した扱いや、結婚生活における夫の態度に憤り、そして子供たちもノラの「人形」になってしまったため、育てる資格があるのか疑問に思います。

 そうした他人のための人形でなく、個人として生きたい気持ちから、ノラは出ていってしまいます

モデル

 『人形の家』はイプセンの友人ローラ=キーラーの生涯に基づいています。

 ローラは夫の結核の治療のため、違法な融資に署名しました。イプセンに手紙を書き、自分の作品を出版社に推薦してほしいと頼んだものの、イプセンが拒否したため、小切手を偽造しました。彼女の行動は発覚し、ヴィクターはローラの秘密の融資を知ると、ローラと離婚し、ローラは精神病院に入れられます。

フェミニズム

 本作はフェミニズム的テーマをはらむ作品として知られています。

 しかし、イプセンにはフェミニズムをテーマとする意図はなかったともされ、むしろテーマとなるのは広く個人の自己実現のための自由であると解釈できます。

 他人の人形として生きたり、他人を人形として生きたりするのでなく、一個の個人として生きたいと願い苦悩するヒロインノラを本作は描きます。

問題劇

 批評家フレデリック・ボアズが、ヘンリック=イプセン(『民衆の敵』『人形の家』)の作品を問題劇と評し、それはシェイクスピアに転用されてひろく知られる語となりました。

 イプセンに対して言われていた「問題劇」というのは、19世紀フランスのウェルメード=プレイの伝統であるプロットと形式重視の恋愛劇の傾向に反した、社会性を重視し古典的形式に必ずしものっとらない自由なスタイルの傾向に言及するものでした。シェイクスピアについて言われる「問題劇」というのは、社会批判的テーマに着目していわれるのでなく、単に悲劇と喜劇のジャンルに則さない内容について特徴づけるもので、まず三一致の法則に則さないロマン主義的スタイルがイプセンと重ねられた感じです。

物語世界

あらすじ

 弁護士ヘルメルと妻ノラ(ノーラ)は公私ともに充実した生活を送っていたものの、クリスマスイブに事件があります。

 ヘルメルは年明けから信託銀行の頭取に就任することになり、その部下となる予定のクロクスタが、ノラを訪ねます。クロクスタはヘルメルから疎まれており、ヘルメルの頭取就任後に解雇される予定でした。ノラはクロクスタの解雇撤回の頼みを断ろうとするものの、クロクスタはノラが過去に犯した違法行為の証拠を握っていると言います。かつてヘルメルが重病になり金銭が必要になったとき、ノラはクロクスタから借金をし、その際に借用証書の父のサインを偽造したのでした。解雇されるなら、このことを暴露するとクロクスタに宣言されたノラは苦悩します。

 ノラはヘルメルにクロクスタの解雇を取り消すよう頼むものの、事情を知らないヘルメルは取り合わず、クロクスタは解雇されます。宣言どおりクロクスタは秘密を暴露する手紙をヘルメルに送ります。ヘルメルは激怒し、ノラをさんざんに罵倒するものの、改心したクロクスタから借用証書が返送されます。態度を豹変させ、ヘルメルは微笑んで甘い言葉で語ります。

 ノラは今までにヘルメルから愛情を受けていると思っていたが、実は自分を人形のように可愛がっていただけであり、一人の人間として対等に見られていないことに気づき、ヘルメルの制止を振り切って家を出る。

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