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ミッチェル『風と共に去りぬ』解説あらすじ

マーガレット=ミッチェル
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始めに

 ミッチェル『風と共に去りぬ』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ミッチェルの作家性

 ミッチェルが最も直接的に影響を受けたのがサッカレー『虚栄の市』です。『虚栄の市』のヒロイン、ベッキー=シャープは、不屈の精神を持ち、世俗的で、手段を選ばない女性ですが、スカーレット=オハラのキャラクター造形と重なります。


​ ​ミッチェルは幼少期からディケンズを愛読していました。脇役に至るまで個性的で、生き生きとした人間像を描くディケンズの手法は、『風と共に去りぬ』の豊かな登場人物たちに活かされています。


 ​19世紀の南部アメリカでは、スコットの騎士道物語(『アイバンホー』など)が非常に人気でした。滅びゆく騎士道精神や、過去への郷愁といったテーマは、ミッチェルに影響します。
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幼い頃、彼女は南北戦争を生き抜いた親族や隣人から、当時の話を子守唄代わりに聞いて育ちました。この口承文学的な体験があります。また『アトランタ・ジャーナル』誌の記者として働いていました。この経験により、冗長さを排した力強い文体と、徹底的な資料調査の癖がついたと言われています。

風と共に去りぬ南部

 ​物語の核心は、スカーレット=オハラの「何をしてでも生き抜く」という強靭な意志です。有名なラストシーンの台詞「明日は明日の風が吹く(Tomorrow is another day)」に象徴されるように、過去に執着せず、前を向く生命力が描かれています。


​ 伝統的な淑女の教育を受けたスカーレットが、飢えから逃れるために土を掴み、嘘をつき、なりふり構わず働く姿は、極限状態における人間の本質を浮き彫りにしています。

 ​タイトルが示す通り、南北戦争という嵐によって、優雅で騎士道精神に溢れた南部社会が風と共に去りぬ(跡形もなく消え去った)様子を描いています。奴隷制の上に成り立っていた綿花農園(タラ)の黄金時代が、近代化と戦争によって無惨に壊されていく過程が描かれます。


​ 過去の栄光に縛られて没落していく人々(アシュレなど)と、新しい時代のルールに適応して利益を得る人々(レットやスカーレット)の対比が鮮明です。
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 ​この物語の恋愛要素は、相手を正しく見ることの難しさという皮肉なテーマを持っています。スカーレットはアシュレを愛していると思い込んでいましたが、実際に愛していたのは自分が作り上げたアシュレの幻影でした。誰よりもスカーレットの本質を理解し、ありのままを愛したレットですが、彼もまた最後には彼女に絶望して去っていきます。

物語世界

あらすじ

 ジョージア州の豊かな農園「タラ」の令嬢スカーレット=オハラは、誰もが惹きつけられる美貌の持ち主でしたが、わがままで激しい気性の持ち主でした。彼女は名家の青年アシュレに恋をしていましたが、彼は自分とは正反対の心優しい女性メラニーと結婚してしまいます。


​ 告白して振られた現場を、ならず者の現実主義者レット=バトラーに見られたことで、二人の奇妙な縁が始まります。自暴自棄になったスカーレットは、メラニーの兄と結婚しますが、彼は出征後すぐに病死。彼女は若くして未亡人になります。


​ 南北戦争が激化し、南軍は劣勢に。華やかだったアトランタの街も北軍に包囲されます。スカーレットは、出産直後のメラニーを連れて、炎上するアトランタからレットの助けで命からがら逃げ出します。


 命がけで辿り着いた故郷タラは、北軍に略奪され、母は病死、父は精神を病んでいました。泥だらけで土を噛みしめながら、彼女は空に向かって誓います。「神に誓います、二度と飢えはしません。そのためには、盗みも人殺しも厭わない」と。


  ​戦後、スカーレットはタラを守るため、なりふり構わず金策に走ります。妹の婚約者を奪って結婚し、事業を成功させますが、周囲の南部社会からは蔑まれます。二番目の夫も亡くした後、ついに彼女は莫大な富を持つレットと結婚します。贅沢な暮らしを手に入れますが、二人の心はすれ違い続けます。

 最愛の娘の事故死、そして唯一の理解者だったメラニーの死。その時、スカーレットは自分が本当に愛していたのはアシュレという「幻」ではなく、レットだったと気づきます。

  しかし愛想を尽かしたレットは「そんなことは知ったことか」と言い残して去っていきます。

 ​一人残されたスカーレットですが、彼女は決して絶望したままでは終わりません。彼女は再び立ち上がり、故郷タラへ帰ることを決意します。「明日タラに帰ろう。そこで彼を取り戻す方法を考えよう。明日は明日の風が吹くのだから」と。

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