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アンドレ=ブルトン『ナジャ』解説あらすじ

アンドレ=ブルトン
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始めに

 アンドレ=ブルトン『ナジャ』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ブルトンの作家性

 ランボーの既成概念を破壊し、未知の領域へ踏み出すロマン主義からは影響が大きいです。
 

 ロートレアモン伯爵『マルドロールの歌』にある「解剖台の上でのミシンと雨傘の不意の出会い」というフレーズは、シュルレアリスムの代名詞的な技法(デパイズマン)の源流となりました。
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 ボードレール『悪の華』に見られる象徴主義や、都市の彷徨、照応の概念がブルトンに示唆を与えました。
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アポリネールは「シュルレアリスム」という言葉を最初に作った人物で、ブルトンの先達です。またジャック=ヴァシェのニヒリズムからも影響があります。初期のブルトンはヴァレリーの知性に傾倒していましたが、後に決別します。
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 他にもフロイト、ヘーゲルなどから影響があります。

客観的偶然

 ​ブルトンにとって、自分を知ることは他者や出来事との予期せぬ衝突の中に、自分のかけらを見出すことでした。ナジャという不思議な女性との出会いを通じて、ブルトンは自分自身の無意識や、隠された欲望を鏡のように照らし出そうとします。


​ 客観的偶然​はシュルレアリスムの核心的な概念です。これは自分の心の中の願望と、外の世界で起きる出来事が、奇跡的なタイミングで一致することです。​『ナジャ』ではパリの街をあてもなく歩いている時にナジャと出会うこと、あるいは彼女が口にする言葉がブルトンの考えていたことと合致することがそれです。


​ これらは単なる偶然ではなく、世界が自分に向かってサインを送っている状態だとブルトンは考えました。

アウトサイダーアートとして

 ナジャは社会的な常識から逸脱した言動を繰り返す女性です。彼女は幽霊を見たり、街の風景の中に全く別の意味を見出したりします。ブルトンは彼女の狂気を、理性に縛られた人間には見えない真実の世界を見ている自由な精神として賞賛しました。
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 しかし、ナジャが実際に精神を病み、施設に収容されることで、ブルトンは狂気を美化する自分と現実の悲劇の間で葛藤することになります。「美は痙攣的なものであるだろう、さもなくば、ないだろう。」という台詞は有名です。​ブルトンにとっての美とは、衝撃を与え、人を混乱させ、内面から揺さぶるような爆発的なものでした。ナジャという存在そのものが、彼にとっての痙攣的な美の体現でした。

モンタージュ

 この本には、風景や物の写真が多数挿入されています。これはモンタージュの手法であり、読者に現実と夢が交差する瞬間を直接体験させるものです。


 ナジャが見たもの、二人が行った場所を視覚的に示すことで、これがフィクションではなく、現実に起きた事件であることを強調しています。

物語世界

あらすじ

 ブルトンが1926年にパリで出会った実在の女性「ナジャ」との、わずか10日間の出来事を中心につづった私小説的ドキュメントです。


​ ​物語は、ブルトンの私は誰かという哲学的自問から始まります。彼はパリの街をあてもなく歩き回り、日常のふとした瞬間に宿る超現実的な予兆を収集していきます。


​ ​1926年10月4日、パリのラファイエット通りで、ブルトンは一人の若く貧しい女性に出会います。彼女がナジャ(ロシア語で「希望」)です。​彼女の目は異様に輝き、周囲の人間とは全く違う世界を見ているようでした。


 ​ブルトンは一瞬で彼女に魅了され、その日から二人の奇妙な彷徨が始まります。

 ​続く10日間、二人はカフェや公園、劇場などで時間を共にします。​ナジャはブルトンが考えていることを言い当てたり、未来を予言したりするような、驚くべき直感を見せます。彼女はノートに奇妙な象徴的な絵を描き、自分を彷徨える魂のように捉えていました。​ブルトンにとって、彼女は理性の壁を壊し、無意識の世界を体現する女神のように見えました。

 ​しかし、次第にナジャの言動は神秘的な域を超え、制御不能な狂気へと変貌していきます。​彼女が路上で叫び声を上げたり、支離滅裂な行動をとるようになると、ブルトンは彼女に対して恐怖と戸惑いを感じ始めます。

 ​結局、ブルトンは彼女を救うことも、彼女の世界に完全に付き合うこともできず、二人の関係は冷え込んでいきます。

 ​その後、ナジャは精神に異常をきたしたとして警察に連行され、精神病院に収容されてしまいます。
 

 ブルトンは彼女を救い出そうとはしませんでした。彼は自由な精神を閉じ込める精神医学を批判しながらも、現実の彼女を見捨てたという矛盾を抱えます。

 ​最後に、彼はナジャという存在を通じて得た結論は「美は痙攣的なものであるだろう、さもなくば、ないだろう」ということでした。

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