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火野葦平『糞尿譚』解説あらすじ

火野葦平
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はじめに 

火野葦平『糞尿譚』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

象徴主義、ロマン主義、リアリズム、プロレタリア文学

 火野葦平は、漱石、芥川、白秋、佐藤春夫、日夏耿之介、ポーなど、象徴主義、ロマン主義、リアリズムの作家から影響を受けました。

 漱石の『坊っちゃん』『吾輩は猫である』などのユーモアとリアリズムから示唆を受け、本作もリアリスティックでユーモラスな市井の暮らしを描きます。

 芥川の象徴主義、主知主義、ヒューマニズムの感化は大きく、終生影響を受けました。批判される戦争協力も、そのヒューマニズムに由来するものです。

 白秋、春夫のロマン主義から影響を受け、個々人の生に着目する作風を培いました。

 ポーのゴシック文学やユーモアからも影響を受けていて、本作もゴシック文学とも重なる、田舎の生活を描きます。

 また、プロレタリア文学への関心もあり、本作も労働者の悲喜劇を描きます。

 本作も、そのような背景から、ユーモラスでリアリスティックな描写を展開します。

タイトルの意味

 タイトルは糞尿回収業を中心的モチーフにすることに由来します。

 九州のある市で糞尿回収を営む主人公の小森彦太郎は、長らく商売の不振が続いていましたが、市会を牛耳る民政党に対立する市会議員で有力者赤瀬の知遇を得て、市の施設の回収を請け負う指定業者の認定を得ます。しかし、最終的にこの赤瀬らにいいように扱われて、市営化の際の買収額を赤瀬、阿部(赤瀬の娘婿)、彦太郎で分配する公正証書に署名させられ、彦太郎の取り分はその1/4とされてしまいます。物語のラストでは、地元住民が彦太郎の業務を妨害し、石を投げられた彦太郎は怒りから運んできた肥桶を倒し、残った肥桶から柄杓で糞尿を振りまくのでした。

物語世界

あらすじ

 九州のある市で糞尿回収を営む小森彦太郎は、トラックを持つなどの投資をしつつ、長らく商売の不振が続いていました。しかし、市会を牛耳る民政党に対立する市会議員で有力者赤瀬の知遇を得て、市の施設の回収を請け負う指定業者の認定を得ます。しかし市の予算は少なく、彦太郎は不満です。

 そんな折、赤瀬からその娘婿の阿部という男を支援者として紹介されます。阿部は指定業者の値上げ嘆願書を作って彦太郎に市に提出させ、予算増が認められます。彦太郎は、商売敵になる業者たちに、組合を作って共栄しようと呼びかけますが、宴席に出ただけで逃げられます。また、民政党系の新聞記者から、指定業者になったのは何らかの便宜を受けたのではないか、昔は彦太郎も民政党を支援していた、と詰問されます。

 それでも彦太郎はいつか市が回収事業を市営化するときに、買収資金を得ることを当てに事業を続けます。

 その矢先、彦太郎は阿部から酒席に誘われ、その場で出された書類に実印を押してしまいます。それは、市営化の際の買収額を赤瀬、阿部、彦太郎で分配する公正証書で、彦太郎の取り分をその1/4としていました。

 それに悄然として町に出た彦太郎ですが、出会った顔見知りの市の衛生課長杉山や、組合を袖にした同業者のリーダー友田が、それぞれ憤懣を語り、3人は泣きながら飲み明かすのでした。

 その後市の指定場所に糞尿を捨てに行った彦太郎を、地元住民が妨害します。石を投げられた彦太郎は怒りから運んできた肥桶を倒し、残った肥桶から柄杓で糞尿を振りまきます。その姿は夕日の中で光り輝くのでした。

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