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ナボコフ『カメラ・オブスクーラ』解説あらすじ

ウラジミール=ナボコフ
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始めに

 ナボコフ『カメラ・オブスクーラ』解説あらすじを書いていきます。

語りの構造、背景知識

詩人としてのキャリアとモダニズム

 ナボコフはもともとロシアのシンボリズムなどの前衛詩から影響されて詩作を試みていました。

 そのため、ナボコフの文章は詩的に構築され、洗練されたデザインになっています。

 またルイス=キャロル(『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』)やジョイス(『ユリシーズ』)のアフォリズム、言語的遊戯からの影響も顕著に受けています(ジョイスからはやがて離れます)。またシェイクスピアやプーシキン(『大尉の娘』『スペードの女王』)の詩作や演劇からも影響が大きいです。

 プーシキンを好んだゴーゴリからの影響も顕著です。

プーシキン流自由主義

 ナボコフは男の作家では珍しい(ほかに堀口大学とか)ですが、すごいファザコンで、お父さんを超素朴に尊敬しています。そして、父の影響で、自由主義の信奉者となりました。

 大おじと繋がりがあり、自由主義を体現するロシアのロマン主義の作家であるプーシキン(『大尉の娘』『スペードの女王』)は、ナボコフにとって終生大切な存在となり、プーシキンを巡る下らない小競り合いでエドモンド=ウィルソンと絶交しました。

コキュの物語

 本作は中年男性のクレッチマーが16歳の美しい少女マグダに惹かれ、彼女との交際であらゆるものを失い、最後には破滅するというプロットで、『ロリータ』とも近いです。

 ただ『ロリータ』のロリータと違って、マグダは性悪の悪女で、積極的にクレッチマーに取り入って、不倫を働き、破滅に導きます。

 原題のカメラオブスクーラは暗くした部屋に小さな穴をあけると、光によって反対側の壁に外の風景が壁に映しだされるという光学装置で、マグダの憧れる映画女優と、マグダの影に翻弄されるクレッチマーのことを象徴します。

物語世界

あらすじ

 ブルーノ=クレッチマーはベルリン在住の美術評論家です。幸せな結婚生活を送っており、暮らし向きも裕福である。しかしクレッチマーは映画館で見かけた16歳のマグダに劣情を抱き、彼女を誘惑して関係を持ってしまいます。

 マグダの奔放さに振り回されつつも夢中になり、マグダが女優になる夢に協力しようとします。不倫関係にあったクレッチマーは、マルゴからの手紙を妻に読まれてしまったことで結婚生活の破綻を迎えます。しかしマグダが彼に離婚を迫っても、クレッチマーは生返事をします。

 ある日クレッチマーは夕食パーティを開くものの、その招待客の中に風刺漫画家のロバート=ホーンがいました。彼はマグダのかつての恋人であり、突然彼女のもとを去っていました。2人は関係を修復し、クレッチマーの目を盗んで関係するばかりでなく、クレッチマーの財産を自分たちのものにしようとします。

 クレッチマーは人脈を使って、マグダを映画女優としてデビューさせます。完成した映画の試写に出かけたクレッチマーたちですが、映画の出来は芳しくありません。クレッチマーはスクリーンに映る彼女に夢中になるものの、マグダの演技は子供のようでに拙いものです。ついには客席から失笑も起き、マグダは恥ずかしさから、泣きながら映画館を抜け出します。

 クレッチマーは傷心のマグダの気晴らしに、南のほうへドライブに出かけます。ホーンが運転手役に志願したので、3人での旅行になります。クレッチマーは旅の途中で旧知の友人で作家のドイツ人に再会するものの、この作家が書いた小説がマグダとホーンが恋人のように振舞うところを描いており、クレッチマーは2人の関係を知ります。怒ったクレッチマーはすぐに荷物をまとめ、マグダだけを連れてホテルを出発します。しかしクレッチマーが運転する車は対向車と衝突して大事故を起こし、その事故で失明します。

 クレッチマーは療養生活のためスイスに別荘を借りてマグダと暮らすものの、マグダはホーンもそこに呼び寄せていました。ホーンはクレッチマーが盲目なことにつけこんで、彼にいたずらを仕掛けたり、欺こうとします。クレッチマーは聴覚が次第に鋭くなるものの、ホーンにとっては愉しみの材料が増えます。

 スイスで愛人と暮らしているクレッチマーが、散財させられているという話を耳にした、クレッチマーの妻の弟マックスは、クレッチマーを救うため別荘を訪れます。するとそこにいたのは、クレッチマーと向かい合って座り、彼の所作を観察している裸のホーンでした。マックスは自分をみても平然としているホーンを追い払い、戻ってきたマグダとすれ違いでクレッチマーをベルリンに連れ戻します。

 自宅に帰ってきたクレッチマーは、たまたま出た電話で、マグダのために借りた部屋に彼女が荷物をとりに戻ってくる事を知ります。タクシーで向かうと、ちょうどマグダが運送屋と会話をしています。

 クレッチマーは拳銃をかまえ、マグダを部屋に追い詰めます。しかし反撃にあって拳銃を奪われ、逆に撃たれて絶命するのでした。

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