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千田理緒『五色の殺人者』感想レビュー

ミステリー
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はじめに

 千田理緒『五色の殺人者』感想レビューを書いていきます。

ランク
B

基本情報

著者 

 千田理緒。1986年、埼玉県出身。大阪府在住。大阪薫英女学院高等学校を卒業後、介護の仕事に従事。2020年「誤認五色」(『五色の殺人者』に改題)で第30回鮎川哲也賞を受賞。

あらすじ

 高齢者介護施設・あずき荘で働く、新米女性介護士のメイこと明治瑞希はある日、利用者の撲殺死体を発見します。逃走する犯人と思しき人物を目撃したのは五人。しかし、犯人の服の色についての証言は「赤」「緑」「白」「黒」「青」と、なぜかバラバラ。凶器も見つかりません。

 そんな中、メイの同僚・ハルが片思いしている青年が、最有力容疑者として浮上したことが判明。メイはハルに泣きつかれ、彼の無実を証明しようとします。

所感

ミステリとして

 正直微妙です。
 受賞の理由としてはミステリとしての一定の体裁と、文章力と設定のデザインセンス、七河『七つの海を照らす星』的な舞台設定の新鮮さが根拠かな、と思います。
 たしかにライトミステリーとしての筆致は、暗すぎずにテンポよくてちょうどいいです。
 他方で、ミステリとしてはお粗末です。まずメインの謎がいまどき色覚トリックなので、その時点で手垢に塗れたジャンルにコミットしてかつそれを中心に据えるデザインへの強い懸念が起こり、悪い予感は全く当たっていて、その解決もなんの意外性もなく、パズラーとしてのロジックもスカスカです。これが『名探偵コナン』とか『金田一少年の事件簿』の短編の一エピソードだったらともかく、本格の長編のメインのネタにするのは無理がありすぎます。

文章

 文章は読みやすく、キャラもそこそこです。

 ミステリーなので重くなりやすいですが、軽妙な筆致です。

総評

 全体的にウェルメイドで、ミステリとして弱いことを除けば特に大きな欠点も、美点もありません。ただ乱歩賞や芥川賞の下位の作品みたいな、賞レースにチューニングされた悪い意味での「手堅さ」を感じる内容です。

コメント

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