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ジョン=ゲイ『乞食のオペラ』解説あらすじ

ジョン=ゲイ
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始めに

ジョン=ゲイ『乞食のオペラ』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ジョン=ゲイの作家性

 ゲイのキャリアにおいて最も重要なのは、風刺作家集団スクリブレルス・クラブ」の友人たちです。彼らは互いにアイデアを出し合い、作品を批評し合う仲でした。アレクサンダー=ポープはゲイの親友であり、詩の技法や風刺の鋭さを彼から学びました。ポープの『愚物列伝』に見られるような、同時代の凡庸な作家や政治家を揶揄する姿勢は、ゲイの作品にも深く根付いています。​ジョナサン=スウィフトは『ガリヴァー旅行記』の著者で、ゲイにニューゲート監獄を舞台にしたパストラルを書いてみてはどうかというアイデアを授けました。これが後の傑作『乞食オペラ』へと繋がります。


​ ​ゲイは古典を愛しながらも、それをあえて庶民的な設定に落とし込む手法を得意としました。​ウェルギリウスと スペンスたちの田園詩は、ゲイが『羊飼いの週間』を書く際の直接的なパロディの対象となりました。初期の詩『ワイン』では、ミルトンの『失楽園』のような荘厳な無韻詩のスタイルを使い、酒を語るという滑稽なギャップを楽しんでいます。


​ セルバンテスは『ドン・キホーテ』に見られる騎士道物語のパロディという構造は、ゲイが既存のジャンルを解体する際の手本となりました。​またゲイはチョーサーを敬愛しており、『バースの女房』というタイトルの喜劇を執筆したほど、中世イギリスの人間味あふれる語り口に影響を受けています。

階級批判

 最大のテーマは偉い政治家も、卑しい泥棒も、やっていることは同じだという痛烈な皮肉です。泥棒の元締めピーチャムや、盗賊のマクヒースといった悪党たちが、紳士のような言葉を使い、名誉や義務を語ります。これは当時の腐覇した政治家が、裏で私腹を肥やしながら表では大義名分を掲げている姿を揶揄したものです。


​ ゲイは、監獄の中に、閣僚会議と同じくらいの不正が満ちていることを描き、社会の全階層が金で動いていることを暴露しました。

ジャンルパロディ

 当時、ロンドンの上流階級では、イタリア語で歌われる豪華絢爛なイタリアン・オペラが流行していました。ゲイはこれを不自然で気取ったものとして攻撃しました。神話の英雄ではなく乞食や泥棒を主人公にし、小難しいアリアの代わりに、誰もが知るバラッドを替え歌にして挿入しました。この手法により、『乞食オペラ』はバラッド・オペラという新しいジャンルを確立し、高尚な芸術を大衆の手に取り戻しました。

 この作品の中では、友情、結婚、さらには人の命までもが取引の道具として描かれます。ピーチャムにとって、娘のポリーが結婚することは資産価値の損失であり、マクヒースを絞首台に送ることは報酬を得るための商談にすぎません。 法律は正義を守るためではなく、力のある者が利益を得るための道具として描かれています。


​ ​作品のラスト、マクヒースは絞首刑になるはずが、観客および乞食の作者役の要望によって、唐突にハッピーエンドが与えられます。このあまりに不自然な幕引きは、現実の悪党たちは、どんなに罪を犯しても最後には許されてしまうという絶望的な現実を、逆説的に浮き彫りにしています。

物語世界

あらすじ

第1幕:​物語は、盗品売買の元締めでありながら警察への密告者でもあるピーチャムの仕事場から始まります。ピーチャム夫妻は、一人娘のポリーが泣く子も黙る大泥棒マクヒース(マック・ザ・ナイフ)と極秘に結婚したことを知って激怒します。結婚なんて純潔の無駄遣いだ、と怒る父ピーチャム。彼はマクヒースを警察に売り飛ばして懸賞金を稼ぎ、ポリーを若き未亡人にして遺産を奪おうと計画します。

第2幕:逃亡したマクヒースは、なじみの酒場で売春婦たちと豪遊しますが、彼女たちに裏切られて逮捕され、ニューゲート監獄へ送られます。監獄には、看守ロキットの娘ルーシーがいました。実はマクヒースは彼女ともデキており、結婚すると約束していたのです。そこへ本妻のポリーがお見舞いにやってきます。ポリーとルーシーによる、マクヒースを奪い合う激しい女の歌合戦が勃発。マクヒースはルーシーを言いくるめて脱獄に成功します。

​・第3幕:​しかし、マクヒースはすぐに再逮捕されてしまいます。いよいよ処刑という時、ポリーとルーシーだけでなく、さらに4人の妻たちが赤ん坊を抱えて現れます。マクヒースは絶望し、もういっそ吊るしてくれ、と叫びます。ここで舞台脇にいた乞食(作者)と役者が登場します。​乞食は彼は絞首刑になるべきだ、悪は滅びるのが筋だといい、役者はオペラに悲劇的な結末は似合わない、観客はハッピーエンドを求めてるといいます。結局、マクヒースは特赦によって無罪放免となり、全員で踊り明かして幕を閉じます。

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