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マシュー・グレゴリー・ルイス『マンク』解説あらすじ

マシュー・グレゴリー・ルイス
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始めに

マシュー・グレゴリー・ルイス『マンク』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ルイスの作家性

 ルイスに最も直接的な火をつけたのは、ラドクリフの代表作『ユードルフォの秘密』です。ルイスはこの作品を読んで熱狂し、わずか10週間ほどで『マンク』を書き上げたとされています。しかしラドクリフの最後には超自然現象を合理的に説明してしまうという手法は取らなかったのでした。ラドクリフが幽霊の正体は人間だったという解決を好んだのに対し、ルイスは悪魔は実在するという立場をとります。アンブローシオが悪魔と契約を交わす場面に象徴されるように、一度足を踏み外した人間が地獄へと転落していく運命の不可避性がテーマとなっています。


​ ゴシック小説の先駆者であるウォルポールの『オトラント城奇譚』は、ルイスにとっても大きな基盤でした。


 ルイスはドイツ語に堪能で、ドイツのロマン主義や疾風怒濤運動の影響を強く受けていました。​ヨハン=カール=アウグスト=ムゼーウスの民話集から、ルイスは『マンク』の中に血まみれの尼僧のエピソードを取り入れました。

禁欲とカトリック

​ ​物語の主人公アンブローシオは、非の打ち所がない聖人として登場しますが、その実態は自己愛と高慢に満ちています。自分は決して誘惑に屈しないという過信が、皮肉にも彼を最も残酷な罪へと導きます。完璧を装う人間ほど、一度綻びが生じると歯止めが効かなくなるという、人間の道徳的脆さを描いています。


​ ​ルイスは、修道院という隔離され、自然な欲求を抑圧する場所が、かえって人間を怪物に変えてしまう様子を描きました。禁欲を強いる制度が、アンブローシオの性的欲望を異常な形で爆発させる原因として描かれています。宗教的な教条が、人間の自然な本能に敗北するプロセスが、生々しく描写されています。


​ 18世紀のイギリスのプロテスタント社会で書かれたこの作品には、当時のカトリック教会に対する根強い不信感が反映されています。修道院の壁の向こう側で行われる拷問、不正、そして偽善など、宗教組織が神の名の下に悪行を隠蔽する装置として機能していることを批判的に描いています。

物語世界

あらすじ

 マドリードのカプチン会修道院で、高潔な説教者として絶大な人気を誇る修道士アンブローシオ。彼は自分を決して罪を犯さない完璧な人間だと信じていました。


 そこへ、ロザリオという美青年の見習い修道士が現れます。しかし、その正体はアンブローシオを慕って潜り込んだ女性マティルダでした。彼女の誘惑に抗えず、アンブローシオはついに禁忌を破り、彼女と肉体関係を持ってしまいます。


 ​一度快楽を知ったアンブローシオの欲望は止まりません。彼はマティルダに飽き始め、純真な美少女アントニアに執着するようになります。彼はマティルダの助けを借りて魔術に手を染め、アントニアを手に入れるために卑劣な手段を繰り返します。​アントニアの母親エルヴァイラを殺害し、​アントニアに仮死状態になる薬を飲ませて地下墓地に連れ去って暴行、殺害します。


​ ​ついに悪行が露見し、アンブローシオは異端審問所に捕らえられ、死刑を宣告されます。死への恐怖に駆られた彼は、獄中に現れた悪魔ルシファーと契約を結び、命を救う代わりに魂を渡すと誓います。


​ 悪魔の力で牢獄から脱出したアンブローシオですが、そこで悪魔から残酷すぎる真実を突きつけられます。​殺した母親エルヴァイラは、実はアンブローシオの実の母親で、​暴行し殺したアントニアは彼の実の妹でした。


 ​悪魔は嘲笑いながら、絶望するアンブローシオを断崖絶壁から投げ落とします。彼はボロボロになりながら6日間苦しみ続け、最後は虫に喰われながら息絶え、魂は永遠に地獄へと連れ去られました。

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