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メレディス『エゴイスト』解説あらすじ

メレディス
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始めに

 メレディス『エゴイスト』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

メレディスの作家性

 トーマス=ラブ=ピーコックは​メレディスにとって最も直接的で、個人的な影響を与えた人物です。ピーコックはメレディスの最初の妻メアリーの父親でした。ピーコックの知的な対話を中心とした風刺小説のスタイルを継承します。


​ ​当時の思想家カーライルからも強い影響を受けています。装飾的で力強い、独特な散文スタイルを継承します。


​ メレディスは少年時代をドイツのモラヴィア兄弟団の学校で過ごしました。この経験が彼の文学的土壌を作り、ゲーテ、ジャン=パウルなどから影響されました。


 ​メレディスの文学理論の核である喜劇論において、フランスの劇作家モリエールは最大の理想とされました。社会の歪みや人間の自尊心を、冷徹かつ知的な笑いによって矯正する喜劇的精神を、メレディスはモリエールの作品の中に見出しました。


​ チャールズ=ダーウィンの進化論を肯定的に捉え、人間を、血、心、霊の進化の過程にあるものとして描きました。

エゴイストとは

 メレディス『エゴイスト』は、ヴィクトリア朝時代のイギリス社会を舞台に、人間の自己中心性を鋭く、かつ喜劇的に解剖した傑作です。


​ ​主人公サー=ウィロビー=パタヌは、富、地位、容姿のすべてを兼ね備えた完璧な紳士ですが、その本質は極度のエゴイストです。彼は他者を一人の人間としてではなく、自分を映し出し、称賛するための鏡としてしか見ていません。


​ メレディスは、ウィロビーが自分のプライドを守るためにいかに必死になり、結果としていかに滑稽な状況に陥るかを皮肉たっぷりに描いています。

 ​この作品は、当時の結婚観に対する強い批判を含んでいます。ウィロビーにとって婚約者のクララ=ミドルトンは、自分のコレクションに加えるべき純真な魂という名の戦利品に過ぎません。物語の核心は、クララがウィロビーの隠れたエゴイズムに気づき、彼という檻から脱出しようとする精神的な葛藤と成長にあります。これは、当時の女性の社会的地位や自由への希求を象徴しています。

反省的喜劇

​ メレディスは独自の文学理論「喜劇論」を展開しており、この作品はその実践の場でもあります。


​ 悪意に満ちた嘲笑ではなく、人間の愚かさを冷静に観察し、それを笑い飛ばすことで健全な常識に立ち返らせる、喜劇的精神が見て取れます。読者はウィロビーの自滅を笑いながら、自分自身の中にあるエゴイズムについても省みることになります。

物語世界

あらすじ

 主人公のサー=ウィロビー=パタヌは、若く、裕福で、ハンサムな準男爵。彼は自分が世界の中心であると信じて疑いません。


 かつて彼は、コンスタンシアという女性と婚約していましたが、彼女は彼の過剰な自己愛に耐えかねて、結婚直前に別の男と駆け落ちしてしまいました。ウィロビーは深い屈辱を味わいますが、それを彼女が未熟だったからだと自分に都合よく解釈し、心の傷を隠します。


​ 数年後、ウィロビーは美しく知的な女性クララ=ミドルトンを新たな婚約者に選びます。ウィロビーは彼女を自分の高潔さを引き立てる美しい所有物として扱い、自分への絶対的な忠誠と崇拝を求めます。


 しかし、クララはすぐに彼の本性に気づきます。彼の愛は、相手を愛しているのではなく、自分を愛してくれる彼女を愛しているだけだったからです。


​ ​クララは息苦しさを感じ、婚約破棄を申し出ます。ところが、プライドの塊であるウィロビーは、二度も婚約者に逃げられるという恥辱を避けるため、あらゆる手段で彼女を繋ぎ止めようとします。


​ クララの父、ミドルトン博士を極上のワインでもてなし、邸宅から離さないようにします。クララが頼りにしようとする従兄弟のヴァーノン=ウィットフォードという控えめで誠実な学者との仲を疑い、牽制します。


​ ​ウィロビーは万が一クララを失った時の保険として、自分を長年密かに慕い続けている貧しい女性レティシア=デイルをキープしておこうとします。彼はクララを説得する一方で、レティシアにも君こそが真に私を理解してくれると思わせぶりな態度をとるという、卑怯な二股工作を始めます。


​ ウィロビーの画策は、嘘が嘘を呼ぶ形となり、周囲の人々に彼の浅ましさが露呈していきます。
​ ついにクララは自由を勝ち取り、彼女を深く理解していたヴァーノンと結ばれることになります。


​ 独りになることと、世間の物笑いになることを何より恐れたウィロビーは、なりふり構わずレティシアにプロポーズします。彼女はウィロビーの正体を冷徹に見抜き、「私はもうあなたを愛していない。でも、条件を飲むなら結婚してあげてもいい」と、立場を逆転させて彼を支配する側に回ります。

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