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ディケンズ『オリバー=ツイスト』解説あらすじ

ディケンズ
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始めに

ディケンズ『オリバー=ツイスト』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

英文学とピカレスクの伝統

 英米文学は、ピカレスクというスペインの文学ジャンルからの影響が顕著です。ピカレスクは、アウトローを主人公とする文学ジャンルです。ピカレスクは「悪漢小説」とも訳されますが、傾向としてピカレスクの主人公は悪人ではなく、アウトローではあっても、正義や人情に篤く、その視点から世俗の偽善や悪を批判的に描きます。高倉健のヤクザ映画みたいな感じで、主人公はアウトローだけど善玉、みたいな傾向が強いです。

 このピカレスクから英文学は顕著な影響をうけ、しかしフィールディング『トム=ジョーンズ』などを皮切りに、ピカレスクに刺激されつつも、それを英文学固有の表現として継承していきました。デフォー『モル=フランダーズ』なども有名です。

 そうした土壌の上で、本作も展開されています。社会のはぐれものとしてのオリバーの冒険を描いていきます

 またフィールディング『トム=ジョーンズ』的な貴種流離譚でもあります。

社会小説

 社会小説は社会問題をテーマとする作品ジャンルで、貧困、工場や鉱山労働、児童労働、女性への暴力、犯罪の増加、都市の過密と衛生状態などを批判的に描くものが多いです。近代化にともなって18世紀のイギリスに成立したジャンルで、ヨーロッパとアメリカに広がり、ピカレスクなどにその源流を持ちます。

 ディケンズは本作で児童労働、家庭内暴力、犯罪者としての児童の利用、浮浪児の存在を批判的に描きます。

 ディケンズ自身も、12歳のときに2年間救貧院で過ごし、その後教育を受けられなかったという経緯があります。

シェイクスピアの影響

 ディケンズはまた、シェイクスピアからの影響が顕著です。ディケンズを代表する誇張的なキャラクター、カリカチュアライズやドラマティックなプロットはシェイクスピアにも由来します。

 本作は『間違いの喜劇』『十二夜』などのような貴種流離譚ジャンルになっていて、高貴なオリバーが落ちぶれるものの、やがてはその出自が明らかになってデウスエクスマキナ的なハッピーエンドによって成功するというジャンプ漫画チックな内容が特徴です。

 先述のフィールディング『トム=ジョーンズ』もこうした特徴を備えています。

物語世界

あらすじ

 イギリスのある地方都市で、生き倒れていた若い女が救貧院に運ばれ、男の子を出産して死亡します。オリヴァー=ツイストと名付けられた孤児は、教区吏のバンブルからほかの孤児たちと同じように非人間的な扱いを受けます。ある日オリヴァーは、クジ引きでおかゆのお代わりをと言ったために役人から危険視され、町のサワベリー氏の葬儀屋に売られます。ここでも徒弟のノア達からのいじめに耐え兼ね、夜逃げしてロンドンへ向かいます。

 ロンドンで、ユダヤ人フェイギンを頭とする窃盗団に取り込まれたオリヴァーは、盗みをするようになります。ある日、仲間が書店で本を読む紳士の持ち物をすり、ただちに逃げました。オリバーは見ているだけだったものの逃げ遅れ、捕らえられます。オリヴァーは、書店主の証言で釈放され、スリの被害にあった紳士のブラウンロー氏に引き取られます。ここでフェイギンはオリヴァーから一味に危険が及ぶことを懸念し、オリバーを再び捕らえます。その後、フェイギンの仲間ビル=サイクスとともに盗みへ出かけることになったオリヴァーは、盗みに入る際に家人に気付かれて負傷し置き去りにされます。そしてその家の女主人メイリー夫人と養女のローズに介抱されます。

 一方、モンクスという男が、オリヴァーに不利な情報をもってフェイギンに接近し、オリヴァーを悪に染めることを条件に多額の謝礼を約束します。オリヴァーに同情していたサイクスの情婦ナンシーは、オリヴァーをこの助けようとローズに一味の巣窟を教えるものの、そのためにサイクスに惨殺されます。これが元で一味には警察が入り、フェイギンは捕らえられ絞首刑となり、サイクスは逃走の末事故死します。そして、モンクスはオリヴァーの異母兄で、私生児である弟を破滅へさせ父の遺産を独り占めしようと画策していたこと、ローズはオリヴァーの母の妹で、オリヴァーとモンクスの父はブラウンロー氏の親友だったことが発覚します。

 そしてオリヴァーは紳士ブラウンロー氏とともに幸せに暮らします。

参考文献

・Forster, John. “The Life of Charles Dickens “

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