始めに
シェイクスピア『マクベス』解説あらすじを書いています。
背景知識、語りの構造
マクベス
史劇作品と同じく、出典は主にラファエル・ホリンシェッドの『年代記』です。ダンカン殺害は「野心家の妻にそそのかされてダフ王を弑逆したドンワルド」のエピソードに由来します。
戯曲でのマクベスは、主君を殺して王位を奪い暴政を行うものの、実際のマクベスは17年間王位にあり、当時は下剋上も珍しくなく、暴君ではありませんでした。
『年代記』ではバンクォーはマクベスによるダンカン王殺害の共犯者であり、その後のクーデターでマクベスが王位に就くよう重要な役割を果たします。
『悪魔学』と魔女
主な情報源は、1597年に出版されたジェームズ王の『悪魔学』です。これには、 1590年の有名なノース・バーウィック魔女裁判を詳述した『スコットランドからのニュース』と題する内容が含まれています。 告発された女性たちは、3人の魔女と同じ癖のある儀式を行ったことが記録されているなどしています。
物語世界
あらすじ
スコットランド軍対反乱軍とノルウェー軍の戦場にて、スコットランド勝利の報告を受ける国王ダンカン。
戦果をあげたスコットランドの将軍でラミスの領主マクベスは、 バンクォーと陣営に戻る途中、荒野で3人の魔女に出会います。魔女達はマクベスに対し「万歳、コーダーの領主」「万歳、いずれ王になるお方」と呼びかけ、バンクォーには「王にはなれないが、子孫が王になる」と予言していなくなります。そこへダンカン王の使者が現われ、マクベスがコーダーの領主に任ぜられたと伝えます。マクベスは王になるという予言にも期待を膨らませます。
フォレスの城に帰還したマクベス達をダンカン王が迎えます。ダンカン王は両将の功績を讃え、息子のマルカム王子を王位継承者に定めます。
マクベスから事件を伝える手紙を受け取り、マクベス夫人は興奮します。夫を国王の座につけようと、マクベスとダンカン王暗殺を計画します。
マクベス夫人は従者の酒に薬を盛り眠らせます。マクベスは血まみれの短剣が浮くのを幻視するものの、皆が寝静まると王の寝室へ向かいます。
王を殺したマクベスは混乱し、殺害に使った短剣を持ってきてしまい、マクベス夫人が短剣を戻しに走ります。2人は寝室へ引き揚げますが、マクベスは血に染まった両手を見て恐怖します。
朝、貴族達が王の死体を見つけます。マクベスは部屋付きの従者たちを斬殺して口を封じ、王殺しの下手人と報告します。父を殺された王子たちは、長男のマルカム王子はイングランドへ、次男のドナルベインはアイルランドへ逃げます。王殺害の嫌疑は逃げた王子達にかかり、マクベスが次の国王になります。
国王の座についたものの、バンクォーの存在と、彼の子孫が王になる、という予言を恐れたマクベスは、バンクォーと息子フリーアンスに暗殺者を送ります。バンクォーは殺されるものの、フリーアンスは逃げ延びます。その報告を貴族たちとの宴会の席で受けたマクベスは、バンクォーの亡霊が列席しているのを見て取り乱します。マクベス夫人も、次第に不安になります。
マクベスは魔女たちのもとへ赴き、予言を求めます。魔女たちは「女の股から生まれたものはマクベスを倒せない」「バーナムの森が進撃して来ないかぎり安泰」と予言します。バンクォーの子孫が王になる予言について尋ねると、8人の王とその後ろにバンクォーの亡霊が笑う幻影が現れ、マクベスは不安になります。
その直後に有力な貴族マクダフのイングランド亡命の知らせが届きます。マクベスはマクダフの城を奇襲し、その妻と幼い子どもを殺させ、暴政で国内を不安に陥れます。
イングランド王のもとに身を寄せているマルカム王子にマクベス討伐を説得するマクダフ。マルカム王子は自分は王位に相応しくないと答えます。しかしそれはマクダフを試すための嘘で、マクダフがマクベスの回し者でないと知ると、すでにイングランド王麾下のシーワード将軍の助けを得てマクベス討伐の準備中と伝えます。自分の城が奇襲された知らせを受けたマクダフは、マクベスへの怒りに燃えます。
並行してイングランド王が不思議な力を神から賜り、不治の病に苦しむ庶民たちを全快させている様子が語られます。
マクベス夫人は夢遊病に冒され、夜中に起き出して、手を洗う仕草を繰り返します。「血が落ちない」とつぶやき、ダンカン王殺害時の言葉を喋り、バンクォーやマクダフ夫人殺害を嘆き続けます。
マクベスの城へイングランド軍が攻めてきます。味方も次々と寝返り、予言に縋りつつ城にたてこもります。そこへマクベス夫人が亡くなったとの知らせが届き、更にバーナムの森が向かってくるという報告が入ります。実はイングランド軍が木の枝を隠れ蓑にして進軍したため、森が動いていたのでした。
マクベスは自暴自棄となり、戦場に出ます。城が落とされますが、小シーワードをはじめ次々と敵を倒し、ついにマクダフと対峙したマクベスは「女の股から生まれた者には殺されない」と告げると、マクダフは帝王切開で生まれたと明かします。
マクベスは、自分の運命は自分で切り開く、とマクダフと戦い、敗死。マクダフがマクベスの首級を殺るのでした。
参考文献
・高橋 康也 (編集)『研究社シェイクスピア辞典』
・倉橋健 編『シェイクスピア辞典』




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