PR

志賀『灰色の月』解説あらすじ

志賀直哉
記事内に広告が含まれています。

始めに

 志賀『灰色の月』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

白樺派の理想主義とヒューマニズム

 志賀直哉は白樺派の中心となった作家です。白樺派は、学習院の同人誌である白樺のグループの作家の名称で、傾向としては理想主義や人道主義を掲げて、そこから生田長江など自然主義の作家や評論家との論争がありました。

 白樺派は有島武郎(『或る女』)、里見とん(『多情仏心』)の兄弟や武者小路実篤(『友情』)、長与善郎などの小説家の他にも詩人、歌人、画家もいて、作風の傾向もまちまちでした。とはいえこのグループではトルストイ(『戦争と平和』『アンナ=カレーニナ』)、ニーチェなどは広く共有され、トルストイ(『戦争と平和』『アンナ=カレーニナ』)のヒューマニズムからは志賀も影響が顕著です。

漱石のプラグマティズム。内村鑑三のヒューマニズム。

 また志賀直哉は夏目漱石や内村鑑三から顕著な影響を受けました。

 漱石はプラグマティズムという潮流から影響が見えましたが、本作もそれと通底する生の哲学が垣間見えます。

 また内村鑑三の理想主義や生の哲学からの影響も伺えます。

語りの構造

  戦後間もない時、東京駅で連れの二人と別れた語り手の「私」が山手線品川廻りの電車に乗車した時のことを描きます。このあたりは「網走まで」と共通です。

 横に座る少年工が身体を揺すり続けていることを不気味に思い、少し間を開けて隣に座りますが、この少年工が作品の中心です。やがて体を揺すり続けている少年工を乗車してきた会社員のうちの一人が笑うものの、この少年工が極度の飢餓状態にあることを悟ります。

 窓の外を見ようとした少年工が体勢を崩して私に寄りかかってくるものの、少年工を気の毒に思う「私」の気持ちを裏切って、「私」の身体は肩で突き返してしまいます。

 その後、私は少年工を助けられない暗澹たる気持ちで電車を降りる、という内容です。

 全体的にそのような語り手の罪悪感やエゴが相対的に描かれます。

物語世界

あらすじ

 戦後間もない時、東京駅で連れの二人と別れた「私」は山手線品川廻りの電車に乗車します。

 横に座る少年工が身体を揺すり続けていることを不気味に思い、少し間を開けて隣に座ります。

 次第に混雑していく車内で、血色のいい丸顔の若者と四十くらいの男が荷物の置き場所を譲り合う姿を見て、気持ちよく思います。

 体を揺すり続けている少年工を乗車してきた会社員のうちの一人が笑うものの、若者の「一歩手前ですよ」という言葉で少年工が極度の飢餓状態にあることを悟ります。

 窓の外を見ようとした少年工が体勢を崩して私に寄りかかってくるものの、少年工を気の毒に思う「私」の気持ちを裏切って、「私」の身体は肩で突き返してしまいます。

 上野へ行く予定だった少年工は乗り越してしまったことを告げられるも、「どうでもかまはねえや」と独り言を言います。

 乗客たちは少年工を気の毒に思うも助けることができず、「私」もまた暗澹たる気持ちを抱えたまま渋谷駅で降車します。

コメント

タイトルとURLをコピーしました