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深沢「風流夢譚」解説あらすじ

深沢七郎
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始めに

 深沢「風流夢譚」解説あらすじを書いていきます。

語りの構造、背景知識

アメリカ文化と谷崎潤一郎

 深沢七郎は愛好した谷崎潤一郎の『蘆刈』『春琴抄』『盲目物語』のような口語的語り口やモダニズム、またハリウッド映画や米文学、ロックンロールなど、アメリカ文化から顕著な影響を受けています。

 谷崎には『過酸化マンガン水の夢』などのシュルレアリスム風の作品がありますが、本作も同様の内容です。

 本作も谷崎の文学や米文学トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒険』のような豊かな口語的語りが展開されます。

語りの構造

 語り手は等質物語世界の語り手の「私」です。

 ある晩、私はある夢を見ます。その夢のなかで革命のような混乱が起こっていて古い体制が打ち倒されて、最後に私は自殺をしようとして目が覚めるという内容です。

 このように夢のなかの出来事を描く枠物語です。

出版とトラブル

 『風流夢譚』は、主人公が見た夢の話のなかで天皇制を描き、「左慾」による天皇と皇后、皇太子と皇太子妃の処刑や、主人公が皇太后を殴る・罵倒する展開から、宮内庁が民事訴訟を検討したり、右翼団体が中央公論社に押しかけるなどのトラブルに見舞われました。

 
 中央公論社では、右翼団体の度重なる強い抗議や圧力が強まったために「謹告」を掲載し、竹森清編集長と橋本進次長が更迭となります。その後、右翼少年が中央公論社の嶋中社長宅に侵入して社長夫人や家政婦を殺傷する「嶋中事件」が起こり、社は「お詫び」を全国紙に掲載し、竹森も退社処分になります。

天皇制批判?

 『風流夢譚』は実際読むと天皇制批判というより新左翼・左翼批判(フィールディングやトウェインのピカレスク的自由主義とヒューマニズムからの)の意味合いが強く、オンタイムの全共闘の暴走やしらけの空気を描写する趣がつよいです。

 語り手の私は夢のなかで革命の混乱に巻き込まれ、勢いに流されるままそれに加わり、既存の体制が倒されるともはや生きる意味を失って、自殺しようとして目が覚めます。

物語世界

あらすじ

 私は、夜は一緒に寝てしまい、朝になると動き出すという不思議な腕時計を持っています。ある晩、私はある夢を見ます。

 その夢は井の頭線の渋谷行に乗っているところから始まります。朝、満員の乗客達は都内で暴動が起きているとラジオのニュースで聞いたと話しています。

 渋谷の駅で降りた私は、八重洲口行のバスに乗ろうと、長いバス待ちの列の先頭に割り込むものの、周りの人々は文句の一つも言いません。都内では革命が始まっているそうです。

 「革命ですか、左慾の人だちの?」と隣りの人に聞くものの、革命ではなくて政府を倒してよい日本を作るのだと言います。ニホンという言葉が私は嫌いで癪でしたが、怒るなと肩をポンと叩かれます。ここで、並んでいる人たちは労働者たちばかりなのに気がつきます。

 バスが来て止り、並んでいる人たちがわーっとバスへ乗り込んで行きます。隣りの人に聞くと、あのバスは警視庁との射ち合いの応援に行ったので、警察も巡査は味方で、刑事だけが反抗していると教えてくれます。こちらにはピストルや機関銃があり、悪魔の日本をやッつけるために、各国が応援していました。

 またバスが来て、みんなわーっと乗り込んでバスは動きだしたものほ、私は停留所の前に立ったままです。私が隣りの人に聞くと、あのバスは自衛隊を迎いに行ったそうです。自衛隊も反抗するのは幹部だけで、下ッパは味方なのだそうです。

 振り向くと、中年の職業婦人が会社に出勤する代わりに革命に行くと言います。私も誘われるものの、怖気つきます。しかし自衛隊も一緒だから大丈夫だと言い、今度のバスは皇居に乗り込むというので私は喜びます。

 それからバスが来て目の前に止まります。この三度目のバスには私もわーっと乗り込みます。バスは皇居へ向います。

 皇居広場には出店があり、皇太子と皇太子妃が、私が薪割りに使っていた「マサキリ」で、首を切られるところでした。私は自分のマサキリが使えなくなって困ると思っていると、2人は処刑されます。

 交差点では、天皇と皇后の首なしの胴体があって、交通整理が出て、人ゴミがあります。

 そこに昭憲皇太后が現れ、私はいきなり怒鳴ったら、怒鳴り返されたので、「糞ったれ婆」と「糞っ小僧」で喧嘩になります。顔をひっかかれて怒った私は、足がけで投げ飛ばし、羽交い絞めにします。命があるのは「ヒロヒトのおかげ」という皇太后を殴ろうとした私は、皇太后の頭の真ん中に丸いハゲがあるのを見つけて飛びのきます。私はハゲを見ると恐ろしくなる性分でした。

 口論は続いたが、突然、軍楽隊がペレス・プラードの『花火』を演奏を始め、私はご機嫌になります。

 文化勲章やら三種の神器が捨ててあるものの、誰も拾わず、クズ屋でも買わないそうです。

 戦いも終わって、花火が始まります。美しい花火を見て思い残すこともない私は自殺しようと思い、辞世の句を詠みます。そして頭をピストルで撃ったものの、頭にはウジが詰まっていました。

 ここで私は甥に起こされます。腕時計は私が夢を見ていた間もおきて動いていたと私は喜ぶのでした。

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