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スティーブンスン『宝島』解説あらすじ

スティーブンスン
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始めに

 スティーブンスン『宝島』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ロマン主義

 スティーブンスンは、イギリスを代表するSF作家です。

 ヘズリット、ラム、ワーズワース、サー・トーマス・ブラウン、デフォー、ホーソーン、モンテーニュ、ボードレール、オーバーマンの影響が顕著で、全体的にロマン主義的テイストが濃厚です。

ピカレスク

 本作はピカレスクのモードを踏まえる内容です。

 ピカレスクはスペインの文学ジャンルで、特徴としては自伝的な記述の一人称で書かれます。社会的地位が低いアウトローの主人公が機転を利かせて立ち回る、小エピソード集の形式です。平易な言葉やリアリズム、風刺などがしばしば見えます。「悪漢小説」と訳されるものの、ピカレスクの主人公が重大な犯罪を犯すことは少なく、むしろ世間の慣習や偽善に拘束されない正義を持ったアウトローとして描かれやすいです。主人公は性格の変化、成長はあまりしません。

 本作も主人公がうまく機転を利かせて立ち回り活躍する、自伝形式の物語です。

 また、ピカレスクの様式のうちに『ロビンソンクルーソー』があり、本作もロビンソナーデです。

ピカレスクとロビンソナーデ

 無人島小説の隆盛はダニエル=デフォーの『ロビンソン・クルーソー』が出版された1719年に遡ります。『ロビンソン・クルーソー』は、新しいジャンルであるロビンソナーデジャンルを生み出しました。ジョナサン=スウィフトの『ガリヴァー旅行記』もこのジャンルの影響が大きそうです。

 1世紀後、S=H=バーニーの『難破船』、スコット『海賊』(1822年)が、19世紀半ばには、ジェイムズ=フェニモア=クーパー『水先案内人』 があり、ポーにも『瓶の中の手紙』『黄金虫』があり、本作の背景となっています。

 他にキングズリーの”At Last”、ジョンソン船長の”A General History of the Pyrates”、アーヴィングの『旅人物語』の「金採り」のエピソードなどからの影響がうかがえます。

物語世界

あらすじ

 本作はジム=ホーキンズが少年時代に体験した大冒険の回顧録という形式です。

 ある海辺のさびれた宿屋ベンボー提督亭に、ビリー=ボーンズという、顔に刀傷があり大きな箱を抱えた謎の大男が現れます。ビリー=ボーンズは追手である片足の男に脅え、ホーキンズ少年に”片足の男に気をつけろ。4ペンス銀貨をやるから、現れたらすぐ知らせろ”と言います。

やがてビリー=ボーンズの周囲に、彼を追ってきたらしい怪しげな人物が出没します。ボーンズは次第にラム酒浸りになり、ある晩、一枚の紙切れを見せられたところショックで死んでしまいます。

 ホーキンズ少年は地元の郷士であるトレローニとリブシー医師とボーンズの箱を調べ、帳面から彼がかつてフリント船長という海賊の船の一味であり、海賊団は財宝を大西洋の孤島に隠したことを知り、その島の位置を記した地図を見つけます。

 トレローニとリブシーはブリストルで船を仕立て、財宝を探しに行きます。航海には素人のトレローニは、波止場で居酒屋を開いていたジョン=シルバーという片足の男の助けを借りて乗組員を集め、シルバー自身もコックとして船に乗り込みます。

 やがて、ホーキンズ少年らの船はブリストルを出港します。

 一行は宝島にたどり着くものの、シルバーはかつてフリント海賊団の一味であり、自分が集めた海賊仲間と反乱を起こします。ホーキンズが事前に反乱の計画を耳にし、船長のスモレットに通報していたおかげで、トレローニとリブシーも脱出し、島で海賊一味との戦いがはじまります。

 海賊たちの間にも内輪もめがあり、この島に置きざりにされた元海賊のベン=ガンの助けがあって、一行は海賊たちを撃退し、財宝を手に入れます。

 生き残ったジョン=シルバーは降伏し、ホーキンズたち一行と島を離れるものの、イギリスでの処罰を恐れ、寄航したカリブの島で銀貨数袋をくすねて脱走します。イギリスに帰り着いた一行は、財宝を分配し、それぞれの道へむかいます。

 ホーキンズにとっても昔のことですが、いまでもシルバーのオウムのフリント船長の鳴き声が脳裏に響きます。

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