始めに
ホーソン『緋文字』解説あらすじを書いていきます。
背景知識
ロマン主義
本作はゴシック・ロマンス小説です。17世紀のニューイングランド(ボストン)のピューリタン社会を舞台に、姦通の罪を犯した後に出産し、その父親の名を明かすことを拒みつつ、懺悔のなかでたくましく生きようとするヘスター=プリンを描きます。
本作ではピューリタンの極端な律法主義の弊害が描かれ、プリンはそれに抗って、病人や貧しい人々を助けるためにできる限りのことをして、それでも保守的な村のコミュニティから疎外されます。
ゴシック小説
作家ホレス・ウォルポールの『オトラント城奇譚』がゴシック小説の先駆となり、以降はこのジャンルが連綿と継承されました。
このジャンルで有名なのはポー『アッシャー家の崩壊』などで、ポーはこのジャンルを代表する作品を多く手掛け、ゴシック小説や墓地派を思わせる暗いムードやグロテスクな作風が特徴的です。また古典主義的建築をモチーフにしました。
ホーソンはこのポーの影響が顕著で、そこからゴシック趣味を展開しました。
またサドなどに顕著ですが、ゴシック文学は傾向として感傷小説というメロドラマジャンルと同時期に展開して相互に参照関係にあったので、本作も感傷小説的な、薄幸の女性の悲劇を描きます。
物語世界
あらすじ
物語は、語り手により、プリンと彼女の身に起きた出来事の証拠書類の発見が語られる「税関」と題された序章から始まります。語り手は自分がその書類に巻かれていた布に触れた時に、焼かれるような熱さを感じたと言います。
マサチューセッツ州の清教徒の町ボストンでは、父親不明の赤ん坊を産んだ若い女性ヘスター=プリンの処罰を見守るために群衆が集まっています。彼女は罰として、断頭台に3時間立ち、公衆の面前で辱めを受け、一生緋色の「A」(姦通の略)を付けることになっています。ヘスターが断頭台に近づくと、群衆の中の女性の多くは彼女の美しさと威厳に憤慨します。ヘスターは、子供の父親を告白して名前を言うように命じられますが、拒否します。
ヘスターが群衆を見渡すと、小柄で不格好な男が目に入り、海で行方不明になったと思われていた夫だと分かります。ヘスターに気がついた彼は、群衆の中の男にヘスターについて尋ね、妻の妊娠の話を聞かされます。男は怒りながら、子供の父親も不道徳な行為で罰せられるべきだと叫び、その男を見つけることを誓います。彼は計画の助けとなる新しい名前、ロジャー=チリングワースを名乗ります。
牧師ジョン=ウィルソンとヘスターの教会の牧師アーサー=ディムズデールがヘスターを尋問するものの、彼女は愛人の名を明かしません。独房に戻った後、看守は医師となったチリングワースを連れてきます。チリングワースとヘスターは結婚について、そして二人とも間違っていたという事実について率直に話し合う。チリングワースはヘスターの子供の父親が誰なのかを問いただすまのの、ヘスターはその情報を明かすことを拒否します。チリングワースはヘスターの拒否を受け入れ、いずれにせよその男の身元を突き止めると言います。チリングワースは、もしヘスターがチリングワースが自分の夫であるという事実を明かしたら、ヘスターの子供の父親を標的にすると脅します。
刑務所から釈放された後、ヘスターは町外れのコテージに住み、裁縫でわずかな生計を立てています。彼女は娘のパールと静かな生活を送り、貧しい人々のために慈善活動を行っています。ヘスターは娘が緋色の「A」に夢中になっていることに悩みます。ヘスターの受ける村八分のため、パールには母親以外に遊び相手も友達もいません。
やがて成長しパールは衝動的で手に負えないようになります。彼女の行動は論争を巻き起こし、教会の人たちはパールをヘスターから引き離すよう提案します。パールを失うかもしれないと聞いたヘスターは、ベリンガム知事とウィルソン牧師、ディムズデール牧師に話をしに行きます。ヘスターはディムズデールに訴え、牧師はパールをヘスターの保護下に置けるよう知事を説得します。
ディムズデールの健康が衰え、町民は新しく到着した医師のチリングワースが牧師の家に下宿することを受け入れます。ディムズデールと親しく接するうちに、チリングワースは牧師の病気は告白されていない罪の結果ではないかと疑います。チリングワースはディムズデールがパールの父親ではないかと疑い、牧師に心理的なプレッシャーをかけます。
ある晩、眠っているディムズデールの法衣を脇に引っ張ると、チリングワースは牧師の青白い胸に彼の恥を表すシンボルが描かれているのに気付きます。
良心の呵責に苛まれたディムズデールは、何年も前にヘスターが辱められた広場へ向かいます。真夜中に処刑台に登り、罪を認めますが、日中に公に告白する勇気がありません。ディムズデールの容態が悪化していることにショックを受けたヘスターは、夫への沈黙の誓いを破ることを決意します。
ヘスターは森でディムズデールに会い、夫の復讐心について話します。ヘスターはディムズデールを説得し、秘密裏に船でヨーロッパへ行き、新たな生活を始めます。
選挙の日、ディムズデールは説教をします。しかし、行列が教会を去るとき、ディムズデールは処刑台に登り、罪を告白し、ヘスターの腕の中で亡くなります。後に、ほとんどの目撃者は、彼の胸に赤い「A」の形をしたしるしを見たと伝えますが、この発言を否定する人もいます。チリングワースは復讐心を失い、1年もせず亡くなり、パールにニューイングランドとヨーロッパの両方で遺産を残します。その後すぐに、ヘスターとパールはヨーロッパに出発します。
数年後、ヘスターはパールなしでコテージに戻り、再び緋文字を身に着けます。彼女は死ぬと、ディムズデールの墓の近くに埋葬され、二人は黒い背景に赤い文字でAと記された墓碑銘が刻まれたシンプルな石板の墓石を共有しました。




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