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ウェルズ『宇宙戦争』解説あらすじ

H.G.ウェルズ
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始めに

 ウェルズ『宇宙戦争』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

SFのルーツ

 ウェルズはSFの先駆的作家とされます。

 プラトンの『国家』、トマス・モアの『ユートピア』、ダニエル・デフォーの作品など、多くの古典作品から刺戟されて、創作にフィードバックしました。

 メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』などからも刺激され、独自のSFフィクションをものしました。

進化論の影響

 トマス・ヘンリー・ハクスリーの下で生物学を学び、進化論はウェルズの人生に影響を与え、作品のテーマになり続けました。

 ウェルズは、人間が進化によって野蛮へと堕落してしまうことを懸念し、それを理性と科学によって克服したいと願いました。

帝国主義批判

 プロットのインスピレーションはヨーロッパの植民地化によるタスマニアの先住民アボリジニの悲劇でした。

 西洋人がオーストラリアを発見した段階では、50万人から100万人ほどのアボリジニがオーストラリア内に生活していたのに、1920年には約7万人にまで減少しました。最大の要因はヨーロッパ人が旧大陸から持ち込んだ伝染病(天然痘や梅毒、インフルエンザ、麻疹など)の流行で、オーストラリアは旧大陸とはほぼ隔絶されていたため、アボリジニはこれらに対する免疫を持ちませんでした。

 本作では、逆に侵略者の火星人の側が、現地固有の病原菌によって敗北することになります。

物語世界

あらすじ

 19世紀6月の金曜日の未明、イングランドのウィンチェスター上空で緑色の流れ星が観測され、天文学者のオーグルビーは、流れ星がロンドン南西ウォーキング付近に落ちているのを発見します。それは直径30ヤードほどの巨大な円筒でした。

 夕方、主人公「私」ら見物人が群がる中、円筒の蓋が開いて火星人が現れます。オーグルビーは、王立天文官ステント、新聞記者のヘンダーソンらと共に急遽代表団を結成します。しかし彼らが円筒に近づいた途端、目に見えない熱線が人々を焼き払います。熱線は周囲の木々や茂み、木造家屋などを一瞬で炎に包みます。夜、英国軍が出動したものの、真夜中過ぎに火星人の第二の円筒が落下します。

 土曜日の午後、軍隊の攻撃が始まったものの、夕方には「私」の自宅付近も火星人の熱線の射程内となります「私」は近くの店で馬車を借り、妻と一緒に彼女のいとこが住むレザーヘッドへ逃げます。その馬車を返す途中、真夜中過ぎに火星人の第三の円筒が落下します。3本脚の戦闘機械トライポッドが登場し、破壊を展開します。馬車を借りた店の主人も死に、出動した英国軍も全滅します。

 日曜日の朝、二人はロンドン方面へ避難します。午後、テムズ河畔に火星人の戦闘機械5体が現れるものの、砲撃で戦闘機械の1体を撃破し、一旦は撃退に成功します。戦闘の混乱で「私」は砲兵とはぐれ、夕方、教会の副牧師と出会います。一方、火星人はその夜から、液体のような黒い毒ガスと熱線を使う攻撃を展開し、軍を撃破してロンドンへと向かいます。

 月曜日の未明、ロンドン市民はパニック状態になります。英国政府はもはや火星人の侵攻を阻止し、ロンドンを防衛するのは不可能として、避難勧告を出します。これを知ったロンドン在住の「私」の弟も避難を開始します。

 暴漢に襲われていた女性らを助け、馬車で英仏海峡の港を目指します。水曜日の午後、港につきます。3人が乗った蒸気船が出港すると、火星人の戦闘機械が3体現れます。沖にいた駆逐艦サンダーチャイルドは、戦闘機械に突進し、砲撃で撃破します。2体目に迫る途中、熱線を受けて大爆発するも、体当たりで2体目も撃破します。3体目の戦闘機械は逃げ去り、「私」の弟たちの乗った船は英国から脱出しました。

 「私」は、出逢った副牧師と共に、日曜日の夜から黒い毒ガスを避けて空き家に避難します。翌日の夕方、火星人が去り、2人は逃避行を続け、ロンドン近郊の空き家にたどり着くものの、真夜中、近くに火星人の円筒が落下して、廃屋に閉じ込められます。やがて「私」は副牧師と対立し、極限状態に陥り、大声を出す彼を殴り倒しました。その物音を気付かれ、火星人に捕まりそうになるものの、助かります。 

 15日目の朝、辺りが静まり返っています。外に出ると、火星人らは姿を消していました。

「私」は以前出逢った砲兵と再会し、人類が負けた事と将来の事について話します。砲兵と別れ、ロンドンに入った「私」は、そこで戦闘機械を見つけます。近づいていくものの、そこで見たものは火星人たちの死体でした。彼らを倒したのは、人間の武器や策略ではなく、病原菌でした。人間と違って、病原菌に対する免疫が全くなかった火星人たちは、死んでしまいました。

 やがて人々は舞い戻り、復興が始まります。「私」は約4週間ぶりに自宅に戻ります。自宅はほぼ無事でした。外で話し声がして、窓から見ると、それは妻と彼女のいとこでした。

参考文献

・ジーン=デイジー=マッケンジー (著), ノーマン=イアン=マッケンジー『時の旅人―H.G.ウェルズの生涯』

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