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マーク=トウェイン『ハックルベリ=フィンの冒険』解説あらすじ

マーク=トウェイン
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始めに

 トウェイン『ハックルベリ=フィンの冒険』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

等質物語世界の語り手

 本作は等質物語世界の語り手ハックルベリー=フィンを設定しています。

 前作『トム・ソーヤーの冒険』は、主人公のトム=ソーヤは語り手ではなくて視点人物でしたが、本作はトムの親友ハックによる、口語的な語りが展開されます。

 このような等質物語世界の語り手のティーンエイジスカースはディケンズ(『ディビッド=コッパーフィールド』)トウェイン(『ハックルベリ=フィンの冒険』)、サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』といったピカレスクの伝統として、英米文学に根付いていきます。

英文学とピカレスクの伝統

 英米文学は、ピカレスクというスペインの文学ジャンルからの影響が顕著です。ピカレスクは、アウトローを主人公とする文学ジャンルです。ピカレスクは「悪漢小説」とも訳されますが、傾向としてピカレスクの主人公は悪人ではなく、アウトローではあっても、正義や人情に篤く、その視点から世俗の偽善や悪を批判的に描きます。高倉健のヤクザ映画みたいな感じで、主人公はアウトローだけど善玉、みたいな傾向が強いです。

 このピカレスクから英文学は顕著な影響をうけ、しかしフィールディング『トム=ジョーンズ』などを皮切りに、ピカレスクに刺激されつつも、それを英文学固有の表現として継承していきました。デフォー『モル=フランダーズ』なども有名です。

 そうした土壌の上で、本作も展開されています。等質物語世界の語り手や、機転によって主人公が活躍するデザインも、ピカレスクに顕著な特徴です。

ハックルベリー・フィンの正義

 本作で描かれるハックルベリー=フィンは悪ガキですが、善良な存在です。社会の教条主義には適応できず、お人好しで正義感です。ハックの父親は息子を奴隷にしますが、ハックはそこから逃げ出し、黒人奴隷のジムに出会って共感していきます。

 家を抜け出しミシシッピ川を下る冒険を展開することになったハックは、ともに旅をする黒人のジムとの交流を通じて、黒人差別を知り、不正義への違和感を強めていきます

 トウェイン自身は政治的にはラディカルな古典的自由主義者で、路線としてはハイエクみたいな感じで、民衆の実践から起こるリーダーシップとか利他的関係、秩序などを評価しました。古典的自由主義者ですが奴隷制度、君主制、貴族制、カトリック教会、(晩年は)帝国主義などに批判的で、一概に保守派とも言い切れないところがありますが、全体的にはリバタリアン的なアナーキストという感じです

物語世界

あらすじ

トム・ソーヤーの冒険』の結末で、盗賊の金貨を発見したハックとトム。発見した金貨は二人で折半し、ハックの取り分はサッチャー判事の預かりとなります。1日に1ドルの利息が払われ、ハックは、金貨の管理人となったダグラス夫人の養子として、屋敷に住みます。トムと学校へ通うこととなったハックでしたが、ミス=ワトソンから徹底的に規律される日々に辟易します。しかしトムとの交流は以前と変らず、ハックは次第にダグラス家での日々にも慣れます。

 その頃、ハックが大金を得たことを聞きつけ、彼の父パップがセント=ピーターズバーグに現れ、ハックを連れ去ります。しかし自らの死を偽装し、父親の元から逃げだしたハックは、ワトソン家の使用人である黒人のジムと再会します。ジムは、ワトソン家の主人が彼を南部に売ろうと計画していたのを立ち聞きし、逃走してきたのでした。

 奴隷制を廃止した自由州のあるカイロへ向かうというジムと共に、ミシシッピー川をハックは下ります。洪水の後、下流に浮かんでいる木のいかだや家を見つけます。家の中で、ジムは射殺された男を見つけるますが、ハックには見えないようにします。ハックは町に忍び込み、ジムを捕まえれば賞金が出ること、そしてジムがハックを殺した疑いがあることを知り、二人はいかだで逃げます。

 ハックとジムは、2 人の泥棒が 話し合っている座礁した蒸気船に出くわします。二人は泥棒の船を沈め、ハックは夜警をだまして救助を試みますが、蒸気船が沈んでしまい失敗します。ハックとジムは霧の中で離れ離れになります。2 人が再会すると、ハックはジムに、この出来事は夢だったと思い込ませますが、ハックが真実を認めると、ジムは失望します

 ハックは逃亡奴隷を支援することを葛藤していたものの、逃亡奴隷を探している白人 2 人がいかだに遭遇すると、嘘で誤魔化してやり過ごします。ジムとハックはカイロを通り過ぎたことに気づき、川を遡る手段がないので、川を下ることにします。いかだは蒸気船に衝突され、再び 2 人は離れ離れになります。

 川岸でハックは、シェパードソン家と 確執を続けているグレンジャーフォード家に出会います。グレンジャーフォード家の娘がシェパードソン家の少年と駆け落ちした後、シェパードソン家の待ち伏せでグレンジャーフォード家の男たちは全員殺されてしまいます。ハックは逃げ出し、いかだを回収して修理したジムと再会します。

 ジムとハックは、国王と公爵を名乗る詐欺師2人組に加わり、ハックとジムをいくつかの詐欺に巻き込みます。詐欺師たちは最近亡くなったピーター=ウィルクスの兄弟になりすまし、彼の財産を盗もうとしますが、ハックはウィルクスの孤児になった姪のためにお金を取り戻そうとします。そこへウィルクスの兄弟を名乗る他の2人の男が現れ、大騒ぎになります。ハックは国王と公爵に捕まりますが、なんとか逃げ、しかし彼らがジムをフェルプス家に売ったことを知ります。

 フェルプス一家はハックを、訪ねてくる予定の甥のトムと勘違いし、ハックもそれに付き合います。実は、甥はトム=ソーヤーで、トムが到着すると、兄のシドのふりをして、ジムを解放するための芝居がかった計画を立てます。ハックは、ジムが地元住民に詐欺を知らせたことを王と公爵に警告しようとするが、二人がタールを塗られ、羽根をつけられ、レールで町から追い出されるのを目撃します。

 ジムの逃走中にトムが負傷します。ジムは逃げる代わりに、彼の世話をするために留まり、逮捕され、フェルプス家に戻されます。トムの叔母ポリーがやって来て、ハックとトムの正体を明かします。彼女は、ミス=ワトソンが亡くなり、遺言でジムを解放したと説明します。トムは知っていたが、ジムを派手に「救出」したかったのでした。ジムはハックに、浮かぶ家で死んだのはパップだと告げます。ハックは、フェルプス家に養子にされることを逃れるために、インディアン準州に逃げるといいます。

参考文献

・Kaplan, Justin. ”Mr. Clemens and Mark Twain: A Biography ”

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