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ディネーセン『バベットの晩餐会』解説あらすじ

ディネーセン
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始めに

 ディネーセン『バベットの晩餐会』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ディネーセンの作家性

 ディネーセンは、故郷デンマークの伝統と、鋭い人間観察力を先達から受け継いでいます。

​ ディネーセンはキルケゴールの美的な生き方と倫理的な生き方の葛藤、皮肉に影響されました。またアンデルセンの寓意性からも刺激されました。

​ ほかにも​『千夜一夜物語』の語りやシェイクスピア、クライスト、ゲーテのロマン主義から影響があります。

料理と宗教

​ 物語の核心は、厳格なプロテスタントの共同体と、バベットが持ち込むフランス料理の対立と和解にあります。姉妹や村人たちは、美食を罪や誘惑として恐れます。しかし、最高級の料理とワインは人々を惑わすのではなく、むしろ凍てついた心を溶かし、過去のわだかまりを浄化させます。霊的な清さと肉体的な喜びは対立するものではなく、感謝を通じて一つになれることを示唆しています。
​ ​

 バベットは、かつてパリの高級レストランのカフェ・アングレで天才料理人と称された芸術家です。彼女は宝くじで当たった1万フランを、たった一度の晩餐会のために使い果たします。 彼女にとっての報酬は金銭ではなく、自分のベストを尽くし、人々を感動させることそのものでした。バベットにとって料理は、自己表現であり、ある種の祈りでもあります。


​ ​晩餐会のシーンで語られる神の恩寵は無限であるというメッセージは非常に重要です。かつて姉妹に恋をした将軍や歌手は、叶わぬ恋に破れ、別の人生を歩みました。しかし、晩餐会の席で彼らは自分たちが選んだ道も、選ばなかった道も、すべては恩寵の中にあったと悟ります。 バベットの行為は、見返りを求めない究極の無償の愛を体現しています。

物語世界

あらすじ

 ノルウェーの厳しい自然に囲まれた町に、極めて厳格な清教徒の牧師の娘、マーチーネ(マルティン=ルターに由来)とフィリパ(フィリップ=メランヒトンに由来)という美しい姉妹が住んでいました。彼女たちは父の教えに従い、自分たちの美貌も才能も神に捧げ、質素な独身生活を送っていました。


 ​若き日の二人には、世俗の愛の誘惑がありました。​マーチーネには、放蕩の末に左遷されてきた士官ローレンス=レーヴェンイェルム。​フィリパには、休暇で訪れたフランスの偉大なオペラ歌手アシル=パパン。 しかし、二人は父の信仰を選び、恋人たちを追い返しました。


​ ​数十年後、パリ・コミューンの動乱で家族を失った女性バベットが、アシル=パパンの紹介状を手に姉妹の元へ逃れてきます。彼女は無給で良いからと家政婦として雇われ、12年間、北欧の質素な干し魚とパンの生活に完璧に適応して仕えました。


​ ​ある日、バベットが買い続けていた宝くじが当たり、1万フランの大金を手にします。彼女は亡き牧師の生誕100周年を祝うための晩餐会を、自分の費用で、本物のフランス料理で開かせてほしいと申し出ます。姉妹は贅沢を罪と考え怯えますが、バベットのこれだけはという願いを聞き入れます。


 ​晩餐会当日、かつての恋人レーヴェンイェルム(今は将軍)も偶然出席します。村人たちが沈黙を守る中、料理の真価を唯一理解した彼は、その味がかつてパリのカフェ・アングレで食べた、ある女性天才シェフの料理と同じであることに驚愕します。最高級のワインと料理は、頑なだった信者たちの心を開放し、過去の恨みや不和を消し去り、天上の喜びを地上にもたらしました。


​ ​客が帰り、バベットは姉妹に真実を告げます。自分こそが「カフェ・アングレの料理長であったこと、そして1万フランをこの一夜の食事のためにすべて使い果たしたことを。もうお金がないからパリへは帰れないと言うバベットに対し、姉妹は「私たちのために貧しくなったと嘆きますが、バベットは凛として答えます。​「私は貧しくなどありません。私は偉大な芸術家なのです」と。

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