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檀一雄『花筐』解説あらすじ

檀一雄
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始めに

 檀一雄『花筐』解説あらすじを書いていきます。

語りの構造、背景知識

ロマン主義、日本浪曼派

 檀一雄は瀧井孝作や林房雄らに処女作「此家の性格」を認められ、尾崎一雄を紹介され、太宰治、井伏鱒二、佐藤春夫と知ります。やがて太宰治、中原中也、森敦らと『青い花』を創刊、その後日本浪曼派に合流しています。

 影響を受けたのは盟友の太宰治や師とした佐藤春夫のほか、ニーチェ、ロマン=ロランなどのロマン主義、小林秀雄、瀧井孝作などです。本作も太宰治を彷彿とさせる豊かな語り口と、太宰や尾崎一雄とも重なる愛嬌とユーモアも見どころです。本作は太宰の作では「ダス・ゲマイネ」などの重なる、青春のグランギニョルな群像劇です。

 三島由紀夫が好んだことでも知られますが、グランギニョルな青春劇としては『金閣寺』や、三島の好んだコクトー『恐るべき子供たち』とも重なります。

世阿弥『花筐』

 タイトルは「花筐」ですが、世阿弥の能に『花筐』があるため、それを暗示すると思われます。以下そのあらすじです。

 春の越前国・味真野。皇位を継ぐため都へ向かった大迹部皇子は使者を最愛の女性照日の前の元に遣わします。使者は照日の前に皇子からの文と愛用の花筐を届け、照日の前はそれらを抱いて失意の中故郷へ戻ります。その後、秋の大和国玉穂で、帝(皇位を継いだ大迹部皇子)は臣下とともに紅葉狩りに出て、そこで照日の前と遭遇します。帝の行列を汚す狂女として官人に花筐を打ち落とされた照日の前は花筐の由来を語り、漢の武帝の后李夫人の曲舞を舞います。花筐を見た帝はそれがかつて自ら与えたもので彼女が照日の前であると気づき、再び照日の前を召し出して都へと帰ります。

 全体的にプロット面での共通性は希薄ですが、退廃的なムードや美那やおばらヒロイン的なキャラクターの儚さを象徴するような内容です。

物語世界

あらすじ

 時は1941年。太平洋戦争勃発前夜を生きる若者たちを主軸に、純朴で、自由に生き抜いた若者たちの青春群像劇。17歳になった榊山俊彦(さかきやまとしひこ)がアムステルダムの親元を離れ、佐賀県唐津に暮らすおばの元に身を寄せることになったことから物語が始まります。

 主な登場人物は、俊彦の学友のアポロ神のように雄々しく美しい鵜飼(うかい)、虚無僧のような吉良(きら)、お調子者の阿蘇(あそ)らと、吉良の幼馴染の千歳(ちとせ)とその友達あきね、そして俊彦の従妹であり肺病を患う物語のヒロイン江馬美那(えまみな)です。

 退廃的な日々を送る中、美那は肺病で命を落とす。

 その後、ある日彼らは海で遊ぶことになり、そこで吉良は榊山の前で自殺する。おばは鵜飼と泳ぎに出るものの、おばの姿を見失い、鵜飼が邸に戻るもののそこには吉良もおばも榊山もおらず、おばの遺書らしきものに、美那から鵜飼への想いを告げる遺言が同封されていました。

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