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宇佐美りん『かか』解説あらすじ

宇佐美りん
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始めに

 宇佐美りん『かか』解説あらすじを書いていきます。

語りの構造、背景知識

中上健次の影響

 本作は熊野のモチーフなど、あからさまに中上健次へのオマージュです。なので以下は中上健次についてまず解説します。

 中上健次はシュルレアリスム(瀧口修造、稲垣足穂)の影響が当初から強く、ファンタジックな要素にその影響が見えます。またシュルレアリスムにおいて着目されたサド(『悪徳の栄え』)、ランボーなどの作家の影響も顕著です。グランギニョルな青春残酷物語としての性質にそれが現れます。

 また中上はセリーヌ(『夜の果てへの旅』)の影響も顕著です。セリーヌは大江健三郎も顕著な影響を受けたラブレーの伝統を継ぐフランスの作家で、その口語的で豊かな語り口はトウェイン(『ハックルベリー=フィンの冒険』)にも引けを取らぬほどエネルギッシュです。また艶笑コメディとしての性質もラブレー(『ガルガンチュアとパンタグリュエル』)、セリーヌに由来します。

 シュルレアリスムは既成の芸術やブルジョア社会へのカウンターカルチャー、アウトサイダーアートとしての側面がありましたが、中上健次自身も部落出身というマイノリティ、アウトサイダーでありつつ、ジュネなどのアウトサイダーのモダニズムに惹かれました。

 またフレイザー『金枝篇』がT=S=エリオット『荒地』に導入されて以降、作家は語りの手法に民俗学、社会学的アプローチをも積極的に取り入れるようになっていきました。中上に影響したフォークナー(『アブサロム、アブサロム!』『響きと怒り』)作品や中上の作品でも用いられているアナール学派的な、中央の事件史に抗する心性史としての歴史記述のアプローチは、ポストコロニアルな主題を孕むガルシア=マルケス『族長の秋』『百年の孤独』などラテンアメリカ文学とモードを共有します。

語りの構造

 19歳の浪人生のうーちゃんが語り手です。うーちゃん浮気をされて離婚して以来アル中で精神を壊した母親のかかとの関係に悩みます。中上『19歳の地図』と重なる、アウトサイダーの鬱屈した心理が展開されています。

 物語は、かかの特有の言語感覚に由来するかか弁によって綴られていて、独自の方言で綴られるという内容になっています。その点ではバージェス『時計じかけのオレンジ』やジョイス『フィネガンズ=ウェイク』などと重なります。

 先にも言ったセリーヌのような、独特のなまなましくグロテスクな口語的世界が物語のなかで展開されていきます。

熊野詣

 中上健次は熊野を舞台に創作しましたが、本作では熊野詣でが描かれます。

 かかが子宮の病気になり、摘出する手術をすることになります。うーちゃんは、かかの入院を前に熊野へと旅立ちます。かかを産んで、もう一度育てたい、という奇妙な願いが起こり、母のために祈るべく、熊野へと向かうのでした。

 生理も金魚のイメージでつづられるなど、中上『奇蹟』『千年の愉楽』を思わせるマジック・リアリズム的な幻想的な語りが展開されます。

物語世界

あらすじ

19歳の浪人生のうーちゃんは、浮気をされて離婚して以来アル中で精神を壊した母親のかかとの関係に悩みます。

 かかは、ととに捨てられて、自身の母親のババに愛されなかったために、家族にも暴力を振るいます。

 ある時かかが子宮の病気になり、摘出する手術をすることになります。

 うーちゃんは、かかの入院を前に熊野へと旅立ちます。かかを産んで、もう一度育てたい、という奇妙な願いを持って、母のために祈るべく、熊野へと向かうのでした。

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