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今村夏子「あひる」解説あらすじ

今村夏子
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始めに

 今村夏子「あひる」解説あらすじを書いていきます。

語りの構造、背景知識

今村の作家性

 今村夏子は小川洋子の影響が大きいです。

 小川洋子は傾向としてはモダニズムからの影響が大きく、川端、太宰、立原、金井美恵子、大江、春樹、オースター、ブローティガンなどをこのみ影響されました。金井美恵子『愛の生活』が、『妊娠カレンダー』など、初期には特に影響が大きいです。日常を冷徹な観察のまなざしで見つめ、グロテスクな様相を浮かび上がらせる手法が共通します。川端の幻想的世界からの影響も大きく、『雪国』的信頼できない語り手は初期から得意とします。

 今村夏子もそのような信頼できない語りと、日常の不穏を得意とします。

集合行為における一個のアクターの視点から描く心理劇

 本作品とコンセプトとして重なるのは漱石『こころ』やロブグリエ『嫉妬』、谷崎潤一郎『』『痴人の愛』、芥川『藪の中』、フォークナー『響きと怒り』、リンチ監督『ブルー=ベルベット』と言えます。集合行為における一部のアクターを語りの主体にしたり、または一部のアクターにしか焦点化をしないために、読者も登場人物と同様、作中の事実に不確かな認識しか得られるところがなく、限定的なリソースの中で解釈をはかっていくことしかできません。

 語り手は等質物語世界の語り手の女性(わたし)です。わたしの家には、「のりたま」という名前のあひるがいます。のりたまが家に来てから、のりたまを見るために近所の子供がわたしの家にやって来るようになります。何度か体調を崩したのりたまが病院に連れて行かれ、そのあとで様子が変わることが二回ほど続きます。しかし、その後亡くなってしまいます。わたしがそのあひるを庭に埋めているとき、1人の少女が前の2羽もそこに埋められているのか、と訊きます。少女は、「一番最初ののりたまが一番好きだったよ」と続けるのでした。

 つまり、途中で様子がかわったあひるは、別のあひるに交換されていたことが示唆されています。私の両親は子供たちを家に招くために、おそらくは死んでしまったのりたまのかわりを見つけていたのでした。

物語世界

あらすじ

 わたしの家には、「のりたま」という名前のあひるがいます。のりたまが家に来てから、のりたまを見るために近所の子供がわたしの家にやって来るようになります。

 静かだった家がにぎやかになり、両親は子供たちを喜んでもてなします。

 しばらくしてのりたまは体調を崩してします。父が病院に連れて行き、2週間後にのりたまは帰って来ます。しかし、あひるの体格やしみなどが、のりたまとは違います。

 それでも子供たちはのりたまが帰ってきたと言って、またわたしの家に集まります。

 しかしそのあひるもまた体調を崩します。今度は太ったあひるが家に来ます。そのあひるは、運動不足から死んでしまいます。

 わたしがそのあひるを庭に埋めているとき、1人の少女が前の2羽もそこに埋められているのか、と訊きます。少女は、「一番最初ののりたまが一番好きだったよ」と続けるのでした。

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