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スタンダール『ヴァニナ=ヴァニニ』解説あらすじ

スタンダール
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始めに

 スタンダール『ヴァニナ=ヴァニニ』解説あらすじを書いていきます。

語りの構造、背景知識

ロマン主義、演劇的背景(シェイクスピア、モリエール)

 スタンダールはフランスのロマン主義を代表する作家です。作家としては演劇的な背景が強く、シェイクスピアやモリエールからの影響が顕著です。

 本作はシェイクスピア『マクベス』の如き、青年の野心と破滅が描かれます。またモリエール『ドン・ジュアン』の如き色男の醜聞と破滅を描きます。 

ロマン主義的テーマ

 主人公ピエトロ=ミシリッリはカルボナリ党員として革命に身を捧げています。しかし、ヴァニナと恋に落ちた瞬間、革命家としての自己か、恋する個人としての自己かの葛藤が始まります。
最終的に彼は信念を選び、恋よりも革命を優先します。

 ヒロインのヴァニナの愛は、自由恋愛というよりも相手を自分のものにしたいという激情に近く、その愛が破滅を呼び込みます。彼女がミシリッリの仲間を密告してしまうのは、情熱の暴走、恋愛の独占欲とモラルや理想との衝突を伝えます。

 革命は崇高な理念を掲げるものの、そこに関わる人間は情熱や嫉妬に揺れるものです。革命家の純粋性は恋の個人性によって揺らぎ、恋人の情熱は革命を裏切るというロマン主義的構図が描かれています。

物語世界

あらすじ

 ローマ貴族ドン=アスドルバレ=ヴァニーニの19歳の娘ヴァニーナ・ヴァニーニは、ローマの若い王子たちから慕われているものの、ローマ人に対する軽蔑から拒否します。

 普段は気楽な父親が宮殿の一室に鍵をかけていて、その部屋の普段は閉まっている窓が開いていることに気づいたヴァニーナは、同じテラスに通じるもう一つの窓を見つけ、そこから謎の部屋を覗き込みます。そこには、傷ついた女性がベッドに横たわっており、血まみれの女性の服にはナイフで何度も刺された跡があるようでした。

 ヴァニーナは父親が部屋に上がり、女性に話しかけるのを目撃するものの、二人の会話は聞こえません。ヴァニーナはこの謎の女性に魅了され、ある晩、女性がヴァニーナが観察しているのを目撃すると、ひざまずき、愛しており献身していると告げます。

 クレメンティーナと名乗るその女性は、ヴァニーナに毎日見舞いに来てほしいと頼むものの、父親には内緒にしてほしいと頼みます。ヴァニーナは、なぜこの女性が傷を負い、隠れていなければならないのか不思議に思います。クレメンティーナは外科医の助けを望んでおらず、外科医が警察に届け出るのを恐れています。しかしヴァニーナは、家族に忠実な外科医を連れてくると申し出ます。

 すると女性は、実は男のピエトロ=ミシリッリというカルボナーリであり、サンタンジェロ=イン=ヴァード出身の外科医の息子で19歳であることを明かします。ミシリッリの一行は待ち伏せされ、鎖につながれてローマに連行されたものの、13か月後、女性に変装して脱走を手助けされたのでした。しかし、監獄を出たミシリッリは看守を襲って殺してしまい、ローマ中を追い回されて負傷したのでした。ドン=アスドルバーレの愛人であるヴィテッレスキ伯爵夫人の庭にいた彼は、伯爵夫人の馬車に乗せられます。ドン=アスドルバーレはこうしてミシリッリの命を救ったものほ、彼は傷がもとで瀕死でした。

 その夜、外科医が一人でやって来ます。ミシリッリの告白によってプライドが傷つけられたヴァニーナは、彼に会いたくありません。愛とプライドの間で葛藤するヴァニーナですが、ついに戻ってきて愛を告白します。

 4ヶ月後、ミシリッリは回復し、ヴァニーナは彼が自分と一緒にいてくれることを喜ぶだろうと考えています。しかし、ミシリッリは復讐を果たし、イタリアを解放したいと願っていました。彼は何度も国を去ろうとしたものの、ヴァニーナは彼を説得して留まらせます。ヴァニーナは結婚を申し込んだものの、彼はイタリア解放のために断り、ヴァニーナは彼の高潔さにますます惹かれます。

 ミシリッリはロマーニャのフォルリへ赴き、そこでカルボナーリ一味のリーダーに任命されます。ヴァニーナもそこに加わり、一味に多額の金と武器を与えます。ミシリッリは計画と愛国心にすっかり心を奪われていました。

 ヴァニーナはミシリッリに愛情を示させることに失敗し、かつての侍女を通して、ミシリッリ自身を除くミシリッリのカルボナーリ一味全員を当局に告発します。これで計画が頓挫し、ヴァニーナと再び結ばれることを期待します。

 ミシリッリは自首します。捕らえられなかった唯一の人物であるミシリッリは、同胞たちに自分が裏切り者だと思われたくないからです。ミシリッリはヴァニーナに、裏切った者への復讐を依頼します。

 ヴァニーナはミシリッリの自由を勝ち取ろうとします。ローマ総督の甥である求婚者リヴィオ=サヴェッリに情報を提供させ、総督の邸宅とサンタンジェロ城に自分の召使二人を住まわせようとします。他のカルボナーリの刑罰は教皇によって数年の懲役刑に減刑されたものの、ミシリッリは死刑になります。

 ヴァニーナは男装してローマ総督カタンツァラ大司教の家に侵入し、拳銃で脅します。ヴァニーナはカタランツァラに減刑を試みさせることに成功し、大司教は教皇から恩赦を得ます。

 ミシリッリと他のカルボナーリたちが新しい牢獄に移送されると、ヴァニーナは真夜中に礼拝堂で彼と会う約束をします。ミシリッリは鎖につながれていて、看守の目の前ですが、会話は聞かれていません。ヴァニーナは、彼がまだ自分を愛していて、裏切りを許してくれることを願います。

 ミシリッリは二人の情事を悔やみ、イタリア解放以外の情熱を抱いたことへの罰だと考えます。ミシリッリは友人関係を続けたいと願い、ヴァニーナにサヴェッリとの結婚を勧め、彼女がイタリア解放運動に寄付した金はイタリアが解放されたら返済すると約束します。ヴァニーナは身に着けている宝石とヤスリを彼に渡し、鎖を断ち切るように言います。しかしミシリッリは、祖国のために命を捧げる覚悟を決めているので、もう忘れてほしいと頼むのでした。

 ヴァニーナは怒りに燃え、彼の命を救うために自分がしたことすべてを告げ、そして彼への愛ゆえにもっと多くのことをしたと言い、裏切りを告白します。激怒したミシリッリは鎖でヴァニーナを殺そうとするものの、看守が駆け込んできて彼を制止します。看守はヴァニーナが贈ったばかりの宝石をヴァニーナに投げ返すのでした。

 間もなく、彼女はローマに戻り、リヴィオ=サヴェッリと結婚します。

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