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ホフマン『黄金の壺』解説あらすじ

E.T.A.ホフマン
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始めに

ホフマン『黄金の壺』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ロマン主義

 ホフマンはドイツロマン主義の作家です。

 ルソー、スウィフト、スモレット、スターン、ゲーテ、ジャン=パウル、シラーの影響が大きく、そのロマン主義と幻想文学を形成します。

 また、後にはティーク、ブレンターノ、ノヴァーリス、ヴィルヘルム、カルデロンに影響されます。

 音楽の素養もあり、『牡猫ムルの人生観』のリスコフのモデルポドビエルスキーから、少年期に指導を受けています。

自然科学の影響

 『黄金の壺』は、種々のテクストに影響されています。ゴットヒルフ=ハインリヒ=フォン=シューベルトの『自然科学の夜の側についての見解』 、ロマン主義の神話学者で言語学者のヨハン=アルノルト=カンネスの理論、フリードリヒ=ヴィルヘルム=ヨーゼフ=シェリングの『自然哲学の理念』 、モンフォコン=ド=ヴィラールの『ガバリス伯爵』 などからの影響が見えます。

 シューベルトは、宗教的な根拠に基づいた宇宙観の創造を目指しました。ゲーテ、ジャン=パウル、ユスティヌス=ケルナー、ハインリヒ=フォン・クライストといった同時代のロマン主義者らから評価されています。代表作『夢の象徴学』は、E・T・A・ホフマン、そして後にはジークムント=フロイトやユングに影響を与えています。

 シューベルトは、自然と人間の魂の両方に神の存在の根拠を見出し、聖書とシェリングの哲学を融合させようとしました。

他作品の影響や関連性

  本作はモーツァルトのオペラ「魔笛」の影響が見えます。このオペラでは、タミーノは魔術師ザラストロから課される試練を乗り越えなければ、夜の女王の娘パミーナを勝ち取れません。ザラストロはリンドホルストと似ています。夜の女王はヴェロニカの侍女だったリンゴ屋と比較できます。

 ホフマンが1812年から1814年にかけてドレスデンで作曲したオペラ『ウンディーネ』は、『黄金の壺』に先駆ける内容です。フリードリヒ=ド=ラ=モット=フーケの物語に基づくこのオペラは、水の精が人間の愛を勝ち取ることで不滅の魂を得る物語です。

物語世界

あらすじ

 主人公アンゼルムスはある昇天祭の日、市場で林檎売りの老婆の籠をひっくり返し商品を台無しにしてしまいます。所持金すべてを渡すものの、「クリスタルの中にとじこめられる」と罵られます。

 その後、エルベ川のほとりでタバコをやっていると、ニワトコの木の上の美しい蛇が目に入り、アンゼルムスは激しく惹かれます。友人である副校長パウルマンは彼に文書管理官(アーキビスト)リントホルストのもとで筆写係をする仕事を斡旋するものの、そのリントホルストこそ美しい蛇ゼルペンティーナの父親で、正体は霊界の王フォスフォルスから追放された火の精霊サラマンダーでした。リントホルストは霊界に戻るために自分の3人の娘に婿を見つけてやらねばならず、その試験としてアンゼルムスに仕事をさせていたのでした。

 アンゼルムスに恋心を抱くパウルマンの娘ヴェロニカは、彼が将来宮廷顧問官になり、自分はその夫人になることを望んでいました。アンゼルムスを自分に引き付けるために占い師の老婆を訪ね、彼が精霊の娘に恋していることを知ります。この老婆もサラマンダーに対して因縁をもつ人物で、彼の末娘ゼルペンティーナの持つ黄金の壺を狙っていました。

 ヴェロニカは老婆の協力を得てアンゼルムスを引き付けようとし、その結果ゼルペンティーナに対する恋心が揺らいだアンゼルムスは、筆写の仕事に失敗してガラス瓶の中に閉じ込められます。

 ガラス瓶の中でアンゼルムスが苦しんでいるうち、リントホルストの家に老婆が現れて黄金の壺を奪おうとリントホルストに魔術をしかけるものの、攻防の末リントホルストとその使いのオウムに撃退されます。この間にアンゼルムスはゼルペンティーナへの愛を再認識し、ガラス瓶から解放されてゼルペンティーナと結ばれます。

 一方ヴェロニカはアンゼルムスを思い切り、宮中顧問官に任ぜられた父の友人ヘールブラントと結婚し、宮廷顧問官夫人となった。

 最後の章では結末を書きあぐねている作者が登場します。作者のもとにリントホルストから手紙が届き、作者は招待をうけてリントホルスト邸を訪れ、そこでアンゼルムスを幻視します。アンゼルムスの前には黄金の壺を抱いた美しい姿のゼルペンティーナが待ちうけ、その壺からは百合が咲き出て二人を祝福しているのでした。

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