PR

ホフマン『くるみ割り人形とねずみの王様』解説あらすじ

E.T.A.ホフマン
記事内に広告が含まれています。

始めに

 ホフマン『くるみ割り人形とねずみの王様』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、語りの構造

ロマン主義

 ホフマンはドイツロマン主義の作家です。

 ルソー、スウィフト、スモレット、スターン、ゲーテ、ジャン=パウル、シラーの影響が大きく、そのロマン主義と幻想文学を形成します。

 また、後にはティーク、ブレンターノ、ノヴァーリス、ヴィルヘルム、カルデロンに影響されます。

 音楽の素養もあり、『牡猫ムルの人生観』のリスコフのモデルポドビエルスキーから、少年期に指導を受けています。

元ネタなど

 ホフマンはヨーロッパの民話の古典、特にドロッセルマイヤーの名の由来となったツグミの髭王(「König Drosselbart」)の伝統を基盤としているとされます。この物語では、王の娘は様々な求婚者を拒絶し、その中には醜いツグミの髭王も含まれます。娘は騙されて王と結婚させられた後、その容姿に関わらず髭王を愛するようになります。マリーが醜いくるみ割り人形(奇妙な髭を生やしている)に惹かれるのと同じです。

 デイヴィッド=ブラミアーズにより、7という数字への拘りから、ネズミの王と「ヨハネの黙示録に登場する悪の化身を表す竜」と の関係が指摘されます。この竜には七つの頭を持つ獣も含まれ、7という数字はヨハネの黙示録の中で何度も登場すします。「くるみ割り人形」でも、ネズミの王は七つの王冠を持ち、ネズミの女王にはドロッセルマイヤーの罠にかかって殺される七人の子供がおり、時計職人ドロッセルマイヤーのいとこであるクリスティアン=ザカリアス=ドロッセルマイヤーは、7年間クラカトゥクを所有し、ドロッセルマイヤーの甥は、殻をむいたクラカトゥクをピルリパトに渡した後、つまずかずに七歩後退することを要求され、七歩目にネズミの女王を踏んでしまいつまずきます。またマリーは7歳です。

 またホフマンは民話の『竜退治』を引用しています。この物語では、男の主人公が姫を救おうとして負傷します。男は竜を倒し、その後の劇的な展開を経て姫と結婚するものです。本作では、くるみ割り人形が犠牲者であり、マリーはくるみ割り人形を救う戦いに加わります。

モデル

 この物語はもともと、作者ホフマンが友人ユーリウス=エドゥアルト=ヒッツィヒの子供のために即興で作ったものです。

 ヒッツィヒにはクララ、フリッツ、マリーという名の子供たちがおり、この話はマリーのためのクリスマスプレゼントとして作られました。

物語世界

あらすじ

 医務参事官シュタールバウム家のあるクリスマスの情景からはじまります。

 この家には上からルイーゼ、フリッツ、マリーの3人の子供がおり、下の娘マリーは7歳になります。マリーはたくさんのクリスマスプレゼントのなかから不恰好なくるみ割り人形をみつけ、これがすっかり気に入るものの、これをフリッツが大きな胡桃を無理に割ろうとして故障させます。

 くるみ割り人形を気の毒に思ったマリーは、その夜、戸棚に飾ってある他の人形のベッドを借りてくるみ割りを休ませようとします。するとあたりの様子が変化し、地面から7つの首をもつネズミの王様が軍勢で現われます。それにくるみ割り人形が動き出し、ほかの人形たちを率いてネズミの軍を相手に戦争を始めます。

 マリーがくるみ割りの窮地を救おうとすると不意に気を失い、気がつくと包帯を巻かれてベッドに寝かされていました。母親たちの話では、マリーは夜中まで人形遊びをしているうちにガラス戸棚に腕を突っ込んで怪我をしてしまったそうです。

 マリーが名付け親であるドロッセルマイヤーおじさんにこれを話すと、彼は「ピルリパート姫」にまつわるおとぎ話を聞かせてくれます。物語の中では姫はネズミの呪いで醜くされ、時計師ドロッセルマイヤーとその甥の活躍で美しさを取り戻します。しかしその身代わりにまだ若い甥のドロッセルマイヤーが醜い姿に変えられたのでした。

 この話に、マリーはくるみ割りこそが青年ドロッセルマイヤーなのだと考えます。

 こののち、マリーのもとに夜な夜なネズミの王様が現われ、くるみ割りの安全と引き換えにマリーのお菓子を要求します。マリーが戸棚の敷居に菓子を置いておくと、翌朝にはネズミに食い荒らされます。

 しかしネズミはまたマリーの絵本や洋服まで要求します。マリーがそこでくるみ割りに話しかけると、くるみ割りは一振りの剣を与えてほしいと答え、マリーは兄フリッツに頼んで兵隊人形の剣を一振りもらいます。

 その夜、くるみ割りがマリーのもとに現われ、もらった剣でネズミの王様に打ち勝ったことを告げます。そのお礼として、彼はマリーを美しい人形の国へ招待します。

 翌朝、自分のベッドで目覚めたマリーは人形の国の情景が忘れられず、家族に話してまわるものの、誰からも取り合ってもらえません。

 そうした中、ドロッセルマイヤーおじさんが甥の青年を連れて尋ねます。青年は、マリーと二人きりになると途端に、自分がマリーに救われたくるみ割り人形だと告げ、おかげでもとの姿に戻れたのだと話します。青年は人形の国の王様であり、マリーを王妃として迎えに来たのでした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました